大阪府 堺市

堺市「特定既存耐震不適格建築物(要緊急大規模建築物は除く)又は小規模社会福祉施設等の耐震改修への補助内容について」を解説

佐藤
うちの実家は堺市にある古い診療所の建物なんですが、住宅ではないので耐震改修の補助は関係ないと思っていました。実際はどうなんでしょうか。
田中
住宅以外の建物でも対象になる場合があります。堺市には「特定既存耐震不適格建築物(要緊急大規模建築物は除く)又は小規模社会福祉施設等の耐震改修への補助内容について」という制度があり、堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱にもとづいて、耐震補強設計と補強工事の費用の一部を補助しています。名前が長いので分かりにくいですが、要するに「住宅でも、要緊急大規模建築物でもない、旧耐震基準の建物」や「小規模な社会福祉施設」を対象にした制度です。
佐藤
「特定既存耐震不適格建築物」と「要緊急大規模建築物」は何が違うんですか。同じ堺市のページに両方出てくるので混乱します。
田中
大事なポイントです。「特定既存耐震不適格建築物」は、耐震改修促進法で定められた、旧耐震基準(昭和56年5月以前に着手)で建てられた一定用途の建築物全般を指す言葉です。そのなかでも、病院・店舗・旅館・学校・老人ホームなど不特定多数や避難弱者が利用する大規模な施設で、法律の附則3条により耐震診断とその結果の報告が義務付けられている建物だけを「要緊急大規模建築物」と呼びます。堺市ではこの要緊急大規模建築物向けに別の補助制度が用意されていて、今回ご紹介する制度は、その要緊急大規模建築物を除いた特定既存耐震不適格建築物、または小規模な社会福祉施設等が対象になります。
対象区分を必ず窓口で確認してください

この制度は「要緊急大規模建築物ではないこと」が前提です。診療所・店舗・旅館・福祉施設などは、規模や用途によって要緊急大規模建築物に該当する場合があり、その場合はこの制度ではなく別制度の対象になります。また賃貸住宅はこの制度の補助対象に含まれません。自分の建物がどちらの区分に当たるかは、必ず堺市建築都市局開発調整部建築防災推進課(072-228-7482)に確認してください。

堺市 特定既存耐震不適格建築物等の耐震改修補助の流れ
対象区分の確認、補強設計、着工前申請、補強工事、完了報告の流れ

どんな制度か

佐藤
あらためて、この制度の対象になる建築物の条件を整理してもらえますか。
田中
公式ページの記載では、対象は「昭和56年5月以前に着手した」建築物で、次のいずれかに当てはまるものです。ひとつは、耐震改修促進法附則3条の対象(要緊急大規模建築物)を除いた特定既存耐震不適格建築物。もうひとつは、小規模社会福祉施設等です。共通の条件として、賃貸住宅は補助対象に含まれません。小規模社会福祉施設等の具体的な規模基準までは公式ページに明記されていないので、デイサービス施設やグループホームなど社会福祉施設を持つ方は、対象になるかどうかを窓口で個別に確認することをおすすめします。
佐藤
対象になる工事は補強設計と補強工事の2種類、という理解でいいですか。
田中
そのとおりです。補助対象の工事は、建物を安全な状態にする補強工事、または建替え工事です。補強工事については、耐震改修促進法第17条の認定を受けて行うことが条件になっています。認定を受けずに自己判断で行った補強工事は、この制度の対象にならない可能性があるので、着工前に認定の要否も含めて確認してください。
制度の基本情報
項目内容
自治体大阪府 堺市
制度名特定既存耐震不適格建築物(要緊急大規模建築物は除く)又は小規模社会福祉施設等の耐震改修への補助内容について
対象建築物昭和56年5月以前に着手した、要緊急大規模建築物を除く特定既存耐震不適格建築物、または小規模社会福祉施設等(賃貸住宅を除く)
対象工事耐震補強設計、安全な状態にする補強工事(耐震改修促進法第17条認定)または建替え工事
補強設計の補助率3分の2(木造は上限10万円、非木造は別途積算)
補強工事の補助率23%
受付2026年度(令和8年度)は2027年1月29日(金曜)まで。予算執行状況により早期終了の場合あり
担当窓口堺市 建築都市局開発調整部建築防災推進課(072-228-7482)

補助額の詳しい内容

佐藤
補強設計への補助を、木造と非木造それぞれで教えてください。
田中
補助率はどちらも3分の2です。木造の場合、設計費用の限度額は延べ床面積に1平方メートルあたり3,450円を乗じた金額以内で、補助限度額そのものは10万円です。非木造の場合は、単価による一律の限度額ではなく「別途積算」とされていて、建物ごとに個別に算定されます。非木造の建物を持つ方は、早い段階で建築防災推進課に相談し、概算額を確認しておくと安心です。
佐藤
補強工事の補助はどうなりますか。
田中
補強工事の補助率は23%です。木造の場合、工事費用の限度額は延べ床面積に1平方メートルあたり57,000円を乗じた金額以内で、Is値が0.3未満のより危険性が高い建物の場合は1平方メートルあたり62,700円以内に引き上がります。Is値は建物の耐震性能を示す指標で、数値が低いほど倒壊の危険性が高いことを意味します。非木造の場合は、補強設計と同じく工事費用の限度額を別途設定することになっていて、一律の単価は公式ページに示されていません。
佐藤
例えば延べ床面積80平方メートルの木造建築物(Is値0.3以上)を補強工事する場合、補助額の目安はどれくらいになりますか。
田中
工事費用の限度額は57,000円×80平方メートルで456万円です。ここに補助率23%をかけると約104万9千円になります。実際の工事費がこの限度額より低ければ、実際の工事費に補助率をかけた額になります。あくまで単価計算からの目安なので、正確な金額は見積りをもとに窓口で確認してください。

申請前の注意点

佐藤
この制度も、工事を始める前に申請しないといけないんですか。
田中
はい。この制度は堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱にもとづいており、同じ交付要綱には「補助金の申請は、設計や工事を実施する前に行ってください。実施後の申請では補助金が出ません」と明記されています。補強設計・補強工事のどちらについても、着手前に申請し交付決定を受けてから進める必要があります。
佐藤
申請できる人にも条件はありますか。
田中
同じ交付要綱の基本条件として、建物所有者が市税を滞納している場合は補助を受けられません。また、建物所有者が複数いる場合は、申請者以外の所有者が耐震改修工事を行うことに同意していることが必要で、建物所有者と居住者(利用者)が異なる場合は、居住者側の同意も求められます。福祉施設のように所有者と運営者が別法人になっているケースもあるため、事前に権利関係を整理しておくとスムーズです。
佐藤
予算がなくなったら、期限より前に締め切られることもありますか。
田中
あります。2026年度(令和8年度)の受付は2027年1月29日(金曜)までとされていますが、予算の執行状況によっては期限前に受付を終了する場合があると案内されています。対象になりそうだと分かった時点で、早めに建築防災推進課へ相談することをおすすめします。
申請までの流れ
  1. 建物の着工時期(昭和56年5月以前か)と、要緊急大規模建築物に該当しないかを建築防災推進課に確認する
  2. 小規模社会福祉施設等に該当する場合は、対象要件を個別に確認する
  3. 木造・非木造の区分と補強設計・補強工事それぞれの補助率・限度額を整理し、見積りを取る
  4. 補強工事は耐震改修促進法第17条の認定が必要かどうかを確認する
  5. 工事着手前に交付要綱に沿って申請書類を提出し、交付決定を受けてから設計・工事を進める

他制度との関係

佐藤
堺市には他にも耐震改修の補助制度がありますよね。使い分けが分かりにくいです。
田中
同じ堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱のなかに、複数の建物区分ごとの制度が用意されています。一戸建て住宅やマンションなど一般的な住宅向けには[堺市 住宅・建築物耐震改修等補助](/program/49)、登録有形文化財などの歴史的建築物向けには[堺市 歴史的建築物の耐震改修補助](/program/78)があります。今回ご紹介した制度は、これらのどちらにも当てはまらない特定既存耐震不適格建築物(要緊急大規模建築物を除く)や、小規模社会福祉施設等を対象にした区分です。病院・店舗・旅館・学校・老人ホームなどのうち、規模が大きく耐震診断・報告が義務付けられている要緊急大規模建築物は、さらに別の専用制度の対象になります。自分の建物がどの区分に当てはまるか迷う場合は、建物の用途・規模・着工時期を伝えたうえで窓口に確認するのが確実です。
佐藤
耐震診断はこの制度に含まれていますか。
田中
今回の補助内容のページには、耐震診断そのものへの補助は明記されておらず、対象は補強設計と補強工事(または建替え工事)です。木造住宅であれば[堺市 木造住宅耐震診断員の無料派遣](/program/51)のような別の診断関連制度がありますので、建物の種類に応じて、診断の段階から利用できる制度がないかもあわせて確認するとよいでしょう。

公式情報

佐藤
詳しい内容はどこで確認できますか。
田中
堺市公式の特定既存耐震不適格建築物等の耐震改修への補助内容についてページに、対象建築物の要件と、補強設計・補強工事それぞれの補助率・限度額が掲載されています。ページの更新日は2025年4月1日です。申請の共通ルール(着手前申請、市税滞納の扱い、所有者・居住者の同意、受付期限)は、堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱のページで確認できます。制度全体の一覧は堺市の耐震改修補助制度一覧から見られます。
佐藤
申請窓口も教えてください。
田中
堺市 建築都市局開発調整部建築防災推進課です。所在地は〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 高層館13階、電話番号は072-228-7482、ファクスは072-228-7854です。年度によって金額や受付期限などの内容が変わることがあるので、具体的な申請を検討する際は、必ず最新の公式ページと窓口で条件を確認してください。
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