埼玉県 さいたま市
さいたま市 耐震補強等助成事業(戸建住宅の建替え工事)を解説
耐震・防災確認済み
佐藤
うちの実家がさいたま市にあって、昭和50年代に建てた木造の戸建てなんです。かなり傷みが激しくて、補強より建て替えを考えているんですが、耐震関係で使える助成ってありますか?
田中
あります。さいたま市の「耐震補強等助成事業(戸建住宅の建替え工事)」という制度です。正式には「さいたま市既存建築物耐震補強等助成事業」という要綱の中の1メニューで、耐震診断で危険と判定された古い戸建て住宅を除却して建て替える工事の費用の一部を市が助成します。令和8年度は2026年4月1日から受付を開始しています。
対象は耐震診断で「倒壊する可能性が高い」と判定された住宅だけです
この制度を使うには、事前に耐震診断を受けて「倒壊する可能性が高い」という結果が出ている必要があります。木造住宅は構造耐震指標(Iw値)が0.7未満相当、木造以外は構造耐震指標(Is値)が0.3未満相当が基準です。しかも診断は誰が行ってもよいわけではなく、さいたま市の名簿に登録された建築士など、一定の資格を満たす人が行ったものに限られます。さらに、建替え工事(解体工事を含む)に着手する前に建築総務課へ交付申請を行い、交付決定を受けていることが必須です。工事を始めてから申請しても対象外になるので、必ず着工前に相談してください。
耐震診断から建替え工事、実績報告までの流れどんな制度か
さいたま市は、地震災害に強いまちづくりを進めるため、市内にある新耐震基準以前(昭和56年5月31日以前に着工)の戸建て住宅を対象に、耐震診断・補強設計・補強工事・建替え工事の費用の一部を助成しています。このうち「建替え工事」は、耐震診断で倒壊の危険性が高いと判定された住宅を解体し、同じ敷地に地震に強い新しい戸建て住宅を建てる場合の費用を助成するメニューです。担当窓口は建設局 建築行政部 建築総務課 企画係です。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 耐震補強等助成事業(戸建住宅の建替え工事)(さいたま市既存建築物耐震補強等助成事業) |
| 主管 | さいたま市(建設局 建築行政部 建築総務課 企画係) |
| 対象者 | 建築物の所有者、または所有者の2親等以内の親族 |
| 対象住宅 | 昭和56年5月31日以前着工の戸建て住宅で、耐震診断の結果「倒壊する可能性が高い」と判定されたもの |
| 対象工事 | 対象住宅を除却し、同一敷地内に地震に安全な戸建て住宅を新築する建替え工事 |
| 助成額 | 建替え工事費(上限あり)の23%相当額、上限30万円/棟 |
| 申請受付期間 | 2026年4月1日から受付開始(予算執行状況により年度途中で終了の場合あり) |
| 実績報告期限 | 原則、申請した年度(2026年4月1日以降)の翌年1月31日まで |
| 担当窓口 | 建築総務課 企画係(電話048-829-1539、FAX048-829-1982) |
| 窓口所在地 | さいたま市浦和区常盤六丁目4番4号 |
対象になる住宅・対象者
佐藤
「昭和56年5月31日以前に着工」というのは、いつ建てられた家か厳密にはどう確認すればいいんですか?
田中
確認済証や登記事項証明書に記載されている着工日・建築時期で判断します。この日付は新耐震基準が適用される前の「旧耐震基準」で建てられた住宅かどうかの境目で、この制度に限らずさいたま市の耐震関連助成全体で共通の基準です。加えて、延べ面積の2分の1以上が住居として使われている必要があり、2戸の長屋でも親族のみが住む2世帯住宅であれば対象に含まれます。逆に、店舗併用住宅で住居部分が半分未満だったり、賃貸に出している部分が多い場合は対象外になる可能性があるので、事前に建築総務課へ確認することをおすすめします。
佐藤
耐震診断はもう受けているんですが、それが古い診断でも使えますか?
田中
使えます。公式ページには「耐震診断は、基準に合致するものであれば過去に行ったものでも支障ありません」と明記されています。ただし、木造住宅なら「さいたま市既存建築物耐震診断資格者名簿(木造)」に登録された建築士が行った診断、木造以外なら建築士事務所に所属し登録資格者講習を修了した建築士が行った診断である必要があります。まだ診断を受けていない場合は、この建替え助成とは別の「耐震補強等助成事業(戸建住宅の耐震診断)」や、無料で受けられる「木造住宅耐震診断員派遣事業」を先に利用する流れになります。
田中
所有者本人のほか、所有者の2親等以内の親族も申請できます。ただし、建物に複数の所有者がいる場合は、建替え工事を実施することについて全員の承諾が必要です。共有名義の実家などは、事前に他の名義人の同意を取っておくとスムーズです。
対象工事の内容
佐藤
「建替え」といっても、どこまでが対象工事になるんでしょうか。増築や一部改修とは違いますか?
田中
この助成は、対象の戸建て住宅を除却(解体)し、同一の敷地内に新たに戸建て住宅を建て替える工事が対象です。増築や部分的なリフォームは含まれません。建替え後の建築物についても条件があり、地震に対して安全な構造であること、土砂災害特別警戒区域の外であること、省エネ基準に適合していることが求められます。また、戸建て住宅から共同住宅や長屋(2世帯住宅を除く)へ建替える場合は対象外です。あくまで「戸建てから戸建てへ」の建替えに限られます。
解体工事も助成の対象費用に含まれます
「建替え工事」という名称ですが、助成の対象費用には解体工事費も含まれます。交付申請の際に提出する「建替え工事費内訳書」にも解体工事費を含めて記載する必要があります。逆に言えば、解体だけを行って建替えない場合はこの助成の対象にはなりません。
補助額・補助率
田中
助成額は、建替え工事に要した費用の23%に相当する額です(千円未満は切り捨て)。ただし「建替え工事に要した費用」には上限があり、除却する住宅の延べ面積に、床面積1平方メートルあたり3.99万円を乗じた額が上限になります。そのうえで、助成限度額は1棟につき30万円です。すでに耐震補強設計の助成を受けている場合は、その金額を差し引いた額になります。
佐藤
具体的な金額のイメージがわきにくいので、計算例を教えてもらえますか?
田中
たとえば延べ面積80平方メートルの住宅を除却する場合で考えてみます。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|
| 建替え工事費の上限(算定基礎) | 80平方メートル×3.99万円 | 319.2万円 |
| 上記の23%(千円未満切り捨て) | 319.2万円×23% | 73.4万円 |
| 実際の助成額(限度額30万円を適用) | 73.4万円と30万円の低いほう | 30万円 |
このように、実際の工事費が大きくても、助成額は1棟あたり30万円が上限になります。建替え工事そのものには数百万円から2千万円以上かかることが一般的なので、この助成金は建替え費用の一部を軽くする位置づけと考えるとイメージしやすいです。
申請前に注意すること
国の交付金を財源とする他の補助金とは併用できません
この助成事業は国の交付金を受けて実施されているため、国庫補助を財源とする他の補助金との併用はできません。また、道路事業などの公共事業によって移転補償費などを受ける場合も併用できません。他の補助制度の利用を検討している場合は、申請前に必ず建築総務課へ相談してください。
佐藤
実績報告の期限が「翌年1月31日まで」とのことですが、2026年度の場合、具体的にはいつになりますか?
田中
2026年度に申請した場合、実績報告の期限は2027年1月31日です。この日は日曜日にあたるため、直前に慌てないよう、工事のスケジュールを早めに組んで余裕を持って提出することをおすすめします。実績報告には建築基準法第7条第5項の検査済証の写しや工事の契約書・領収書の写し、住民票の写しなどが必要になるので、書類の準備にも時間がかかります。
申請から助成金受け取りまでの流れ
- 耐震診断の結果で「倒壊する可能性が高い」と判定されていることを確認する(未診断なら先に耐震診断助成などを利用する)
- 建替え工事(解体工事を含む)に着手する前に、建築総務課へ交付申請を行う(建替え工事助成金交付申請書、建替え工事費内訳書、新築住宅の配置図、既存住宅の現況写真、助成金額算定書などを提出)
- 交付決定を受けてから、除却工事(解体)と建替え工事に着手する
- 既存住宅の解体が終わったら、速やかに除却工事完了報告書と除却後の現地写真を提出する
- 建替え工事が完了したら、申請年度の翌年1月31日までに実績報告書、検査済証の写し、契約書・領収書の写し、住民票の写しを提出する
- 市の完了確認と助成額の決定を経て、助成額決定を受けた年度の3月末日までに助成金請求書を提出し、指定口座へ振り込みを受ける
佐藤
申請書類はどこから取り寄せて、どうやって提出すればいいですか?
田中
申請書類はさいたま市の公式ページからダウンロードできるほか、建築総務課の窓口でも配布されています。提出方法は窓口への持参のほか、郵送(信書便)、2024年度から利用できるようになった電子申請システム、電子メールにも対応しています。ただし郵送やオンラインで提出する場合は、事前に電話などで建築総務課に確認したうえで送るよう案内されています。書類に不備があると交付決定が遅れてしまうので、初めて申請する場合は一度電話で相談してから書類をそろえるのが確実です。
他制度との併用・使いどころ
佐藤
うちのように「建替えるか補強で済ませるか迷っている」場合は、どう考えればいいでしょうか?
田中
さいたま市の耐震補強等助成事業には、この建替え工事助成のほかに、耐震診断助成、耐震補強設計・工事助成という別メニューがあります。建物の傷み具合や間取りの希望によって、補強で耐震性能を確保できるなら「耐震補強設計・工事助成」を、老朽化が進んでいて建替えたほうが現実的なら今回の建替え工事助成を検討する、という使い分けになります。どちらの助成額が有利かは建物の状態や工事費によって変わるため、まずは耐震診断の結果と、補強・建替えそれぞれの見積もりを取って比較することをおすすめします。ブロック塀の除却を合わせて検討している場合は、「既存ブロック塀等の除却・建替え工事の費用を助成します」という別制度も用意されています。
佐藤
この助成を受けた後に、また別の年度で耐震シェルターの設置費用の助成も使えますか?
田中
建替え後の新しい住宅は現行の耐震基準を満たす前提になるため、そもそも耐震シェルター等設置支援事業(既存の古い住宅に簡易な避難空間を設ける制度)を使う必要性は基本的になくなります。もし建替えではなく補強にとどめる選択をした場合は、シェルター設置支援事業や耐震補強工事による減税制度など、他の関連制度もあわせて確認するとよいでしょう。いずれにしても、複数のメニューを比較検討する段階では、一度建築総務課の窓口で自分の住宅がどのメニューに合うか相談するのが近道です。
公式情報
お問い合わせ: さいたま市役所 建設局 建築行政部 建築総務課 企画係(電話048-829-1539、FAX048-829-1982)
所在地: さいたま市浦和区常盤六丁目4番4号