大阪府 堺市

堺市の歴史的建築物耐震改修補助を解説

佐藤
実家が登録有形文化財に指定されている古い木造住宅なんですが、耐震改修をすると補助が出ると聞きました。本当ですか。
田中
本当です。堺市には「歴史的建築物の耐震改修への補助内容について」という制度があります。堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱のなかで、歴史的建築物を対象に、耐震補強設計と補強工事の費用の一部を補助する仕組みが用意されています。
佐藤
「歴史的建築物」とは、具体的にどんな建物を指しますか。
田中
堺市の耐震改修ページの対象建築物一覧では、次の4つのいずれかに該当する建物と案内されています。①登録有形文化財、②景観重要建造物、③歴史的風致形成建造物、④堺市街なみ環境整備修景施設整備補助金交付要綱に定める歴史的建築物です。この4類型のどれにも当てはまらない古い住宅は、この制度の対象にはなりません。
歴史的建築物であり続けることが条件です

この制度は、耐震補強工事後も歴史的建築物の状態が維持されることが要件です。補強によって外観や構造を大きく変えてしまい、登録有形文化財などの指定・登録が外れてしまうような改修は対象外になります。事前に建築防災推進課へ相談し、指定・登録を維持できる補強計画かどうかを確認してください。

堺市歴史的建築物耐震改修補助の確認から補助金受取までの流れ
歴史的建築物の該当確認、補強設計、補助申請、補強工事、完了報告の流れ

どんな制度か

佐藤
補助の対象になる工事は何ですか。
田中
大きく2つです。ひとつは耐震補強設計への補助、もうひとつは補強工事への補助です。どちらも「安全な状態にする補強工事」であることが前提で、木造か非木造かによって補助率や限度額の考え方が分かれています。
佐藤
木造の場合の補強設計の補助はどれくらいですか。
田中
補助率は3分の2です。設計費用の限度額は、延べ床面積に1平方メートルあたり7,300円を乗じた金額以内とされていて、補助限度額そのものは55万円です。実際の設計費と、面積から計算した限度額とを見比べて、低い方をもとに補助率2/3をかけるイメージで考えてください。
制度の基本情報
項目内容
自治体堺市
制度名歴史的建築物の耐震改修への補助内容について
対象建築物登録有形文化財、景観重要建造物、歴史的風致形成建造物、堺市街なみ環境整備修景施設整備補助金交付要綱に定める歴史的建築物
対象工事耐震補強設計、耐震補強工事
補助率3分の2
補強設計の限度額55万円(木造。延べ床面積×7,300円/㎡以内)
補強工事の限度額260万円(木造。詳細は下記)
受付常設制度(申込期限の記載なし。予算状況により終了の場合あり)
担当窓口堺市 建築都市局開発調整部建築防災推進課(072-228-7482)

補強工事への補助額

佐藤
補強工事の補助額も詳しく教えてください。
田中
木造の場合、建物の用途によって2つに分かれます。住宅(マンション以外)は、延べ床面積に1平方メートルあたり39,900円を乗じた金額以内が工事費用の限度額で、Iw値が0.7未満の場合は1平方メートルあたり51,200円以内に引き上がります。住宅以外の建物は、1平方メートルあたり57,000円以内(Iw値0.7未満は62,700円以内)です。補助率はどちらも3分の2で、補助限度額は260万円です。
佐藤
「Iw値」とは何ですか。
田中
建物の耐震性能を示す指標のひとつで、数値が低いほど倒壊の危険性が高いことを意味します。Iw値0.7未満、つまりより危険性が高いと判定された建物ほど、工事費用の限度額が高く設定される仕組みです。危険度が高い建物ほど手厚い補強を後押しする考え方です。
佐藤
非木造の建物の場合はどうなりますか。
田中
補強設計・補強工事とも「別途積算の範囲」とだけ案内されていて、木造のような一律の単価は公式ページに示されていません。非木造の歴史的建築物を補強する場合は、建物の構造や規模に応じて個別に算定されるため、早い段階で建築防災推進課に相談し、対象になるかどうかと概算額を確認してください。
佐藤
260万円というのは、1棟あたりの上限ですか、それとも1住戸あたりですか。
田中
建物の種類によって数え方が変わります。工事費用の限度額(単価×面積の計算)は一棟あたりの額で計算しますが、補助限度額は、住宅の場合は一住戸あたり、それ以外の建物は一棟あたりの額とされています。共同住宅形式の歴史的建築物では、住戸ごとに上限を考える必要があるということです。
佐藤
例えば延べ床面積100平方メートルの木造の歴史的建築物(住宅、Iw値0.7以上)を補強改修する場合、補助額の目安はどうなりますか。
田中
工事費用の限度額は39,900円×100平方メートルで399万円です。ここに補助率3分の2をかけると266万円になりますが、補助限度額は260万円なので、実際の補助額は260万円が上限です。実際の工事費がこれより低ければ、実工事費に補助率をかけた額になります。あくまで単価計算をもとにした目安ですので、具体的な見積りをもとに窓口で確認してください。

申請の注意点

佐藤
補助を受けるうえで、工事の前に申請しないといけませんか。
田中
はい。この歴史的建築物の補助も、堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱に基づく制度の一部です。同じ交付要綱では、補助金の申請は設計や工事を実施する前に行うことになっていて、実施後の申請では補助金が出ないと案内されています。歴史的建築物の補強設計・補強工事についても、着手前の申請を前提に準備を進めてください。
佐藤
誰でも申請できますか。
田中
同じ交付要綱の基本条件として、建物所有者が市税を滞納している場合は補助を受けられないと案内されています。また、建物所有者が複数いる場合は、申請者以外の所有者が耐震改修工事に同意していることが必要で、所有者と居住者が異なる場合は居住者の同意も求められます。区分所有建物であれば管理組合が補助対象になり、総会での議決や費用の予算化も必要です。
佐藤
耐震改修設計と補強工事は、別々の建物単位で申請できますか。
田中
いいえ。交付要綱では、耐震改修設計・補強工事は構造耐力上独立した一棟を単位として行うこととされています。ひとつの棟の中で部分的に切り分けて申請することは想定されていません。
申請までの流れ
  1. 自分の建物が登録有形文化財・景観重要建造物・歴史的風致形成建造物・堺市街なみ環境整備修景施設整備補助金交付要綱に定める歴史的建築物のいずれかに該当するか確認する
  2. 建築防災推進課に相談し、耐震補強工事後も歴史的建築物の状態を維持できる補強計画かを確認する
  3. 木造か非木造か、住宅かそれ以外かで補助率・限度額の考え方を整理し、設計費・工事費の見積りを取る
  4. 工事着手前に交付要綱に沿って申請書類を提出し、交付決定を受ける
  5. 交付決定後に補強設計・補強工事を実施し、完了後に実績報告を行う

他制度との関係

佐藤
堺市には、この制度以外にも耐震改修の補助がありますよね。
田中
あります。一般の一戸建て住宅やマンションを対象にした[堺市 住宅・建築物耐震改修等補助](/program/49)が、堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱の中核となる制度です。歴史的建築物の補助は、この交付要綱のなかで歴史的建築物という建物区分に特化した補助率・限度額を定めたものと位置づけられます。自宅が歴史的建築物に該当しない場合は、こちらの一般制度の対象になるかを確認するとよいでしょう。
佐藤
木造住宅の耐震診断も別に申し込む必要がありますか。
田中
補強設計・補強工事の補助とは別に、耐震診断の手続きが必要になる場合があります。堺市には[堺市 木造住宅耐震診断員の無料派遣](/program/51)という制度もありますので、歴史的建築物が対象になるかも含めて、まずは建築防災推進課に確認してください。

公式情報

佐藤
申請窓口を教えてください。
田中
堺市 建築都市局開発調整部建築防災推進課です。所在地は〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 高層館13階、電話番号は072-228-7482、ファクスは072-228-7854です。
佐藤
公式ページにはどんな情報が載っていますか。
田中
堺市公式の歴史的建築物の耐震改修への補助内容についてページに、対象建築物の要件、補強設計・補強工事それぞれの補助率と限度額の表が掲載されています。ページの更新日は2025年4月1日です。申請書類や交付要綱そのものは、同じ耐震改修のくくりにある堺市住宅・建築物耐震改修等補助金交付要綱のページからも確認できます。年度によって関連制度の内容が変わることがあるので、具体的な申請を検討する際は、必ず最新のページと窓口で条件を確認してください。