兵庫県 西宮市

西宮市の住宅耐震改修促進事業を解説(計画策定〜除却まで5つの補助メニュー)

佐藤
実家が古い木造の戸建てで、昭和50年代に建てたと聞いています。地震のたびに不安なんですが、西宮市に耐震改修の補助金があると聞きました。
田中
「西宮市住宅耐震改修促進事業」ですね。西宮市内にある昭和56年5月31日以前に着工された住宅を対象に、耐震診断の結果を踏まえた改修や除却の費用を補助する制度です。建築指導課が窓口になっていて、計画策定・本格改修・簡易改修・屋根の軽量化・除却という5つの補助メニューが用意されています。
佐藤
5つもあるんですね。うちの実家みたいな木造戸建てだとどれが使えますか。
田中
木造戸建てなら基本的に5メニュー全部が候補になります。ただし所得制限や診断結果の条件がメニューごとに違うので、あとで一つずつ整理しますね。先に大前提として、どのメニューも「耐震診断の結果、安全性が低いまたはかなり低いと診断された住宅」であることが共通の出発点です。
佐藤
受付期間はいつまでですか。急いだ方がいいですか。
田中
2026年6月1日(月曜日)から受付を開始していて、予定棟数に達するか2026年11月30日(月曜日)になった時点で受付を終了する予定です。先着順に近い運用なので、年度の後半になるほど埋まっている可能性が高くなります。受付時間は午前10時00分から12時00分、午後13時00分から16時00分までと決まっているので、訪問前に時間も確認してください。
契約・着工のタイミングと併用制限に注意

補助金の交付決定より前に施工業者と契約を結んだり、代金を支払ったりしてしまうと、その時点で補助の対象外になります。見積もりの段階で急いで契約しないでください。また、この事業は国の補助金・交付金との併用ができません。工事内容によっては国の制度と西宮市の制度のどちらを使うか選ぶ必要があります。受付期間は予定棟数に達し次第終了するため、最新の受付状況は申請前に必ず公式ページで確認してください。

西宮市住宅耐震改修促進事業の申請から補助金受け取りまでの流れ
対象確認、耐震診断・計画策定、業者選定・見積、交付決定後に着工、完了報告の流れ

どんな制度か

佐藤
そもそもこの制度はどういう目的で作られたんですか。
田中
昭和56年5月31日以前の「旧耐震基準」で建てられた住宅は、大きな地震で倒壊する危険性が相対的に高いとされています。西宮市はこうした住宅の耐震化を進めるために、診断から改修、場合によっては除却までの一連の流れを補助金で後押ししています。対象工事は、住宅改修業者登録制度に登録している事業者か、兵庫県の登録を受けた事業者グループを構成する事業者との契約が条件になっているメニューが多く、誰でも好きな業者に頼めるわけではない点も押さえておく必要があります。
制度の基本情報
項目内容
制度名西宮市住宅耐震改修促進事業
実施主体西宮市(建築指導課)
対象住宅西宮市内に所在し、昭和56年5月31日以前に着工された住宅(店舗等併用住宅を含む)
補助メニュー耐震改修計画策定費補助/耐震改修工事費補助/簡易耐震改修工事費補助/屋根軽量化工事費補助/除却工事費補助
受付期間2026年6月1日(月曜日)から2026年11月30日(月曜日)まで、または予定棟数に達した時点まで
受付時間午前10時00分から12時00分、午後13時00分から16時00分
国の補助との併用不可
窓口西宮市建築指導課(西宮市六湛寺町8-28 西宮市役所第二庁舎11階、電話0798-35-3707、FAX0798-36-3795)

対象者・対象住宅

佐藤
対象になる人の条件を教えてください。
田中
メニューによって対象者の範囲が違います。耐震改修計画策定費補助と除却工事費補助は「個人」が対象者で、所得制限があるのは除却工事費補助だけです。一方、耐震改修工事費補助・簡易耐震改修工事費補助・屋根軽量化工事費補助は「兵庫県民」が対象者で、所得が1200万円(給与収入のみの場合は1395万円)以下であることが条件になります。どのメニューも、対象者が高齢者の場合はその二親等以内の親族が代わりに申請できる扱いです。
佐藤
対象になる住宅の条件はどうですか。
田中
共通しているのは「昭和56年5月31日以前に着工された住宅で、原則として建築基準法に適合していること」です。そのうえで、耐震診断や「わが家の耐震診断推進事業」「簡易耐震診断推進事業」のいずれかで、安全性が「低い」または「かなり低い」と診断されている必要があります。簡易耐震改修工事費補助は「かなり低い」と診断された戸建住宅だけが対象で、屋根軽量化工事費補助は木造戸建住宅限定、除却工事費補助も戸建住宅限定です。耐震改修計画策定費補助と耐震改修工事費補助は、戸建住宅・長屋・共同住宅(マンションを含む)まで対象住宅の種類が多いのが特徴です。

補助メニューごとの金額

佐藤
肝心の補助額が知りたいです。メニューごとにまとめてもらえますか。
田中
公式ページに公開されている「対象者・対象物」資料をもとに整理すると、次のようになります。いずれも補助対象経費は消費税・地方消費税相当額を除いた金額です。
補助メニュー別の補助額
補助メニュー対象住宅補助額
耐震改修計画策定費補助戸建住宅対象経費の3分の2、または20万円のいずれか低い額
耐震改修計画策定費補助長屋・共同住宅(マンション除く)対象経費(按分)の3分の2、または12万円に戸数を乗じた額のいずれか低い額
耐震改修計画策定費補助マンション対象経費の3分の2を上限に㎡単価で算出した額、または400万円のいずれか低い額
耐震改修工事費補助戸建住宅対象経費の5分の4、または115万円のいずれか低い額
耐震改修工事費補助長屋・共同住宅対象経費(按分)の5分の4、または45万円に戸数を乗じた額のいずれか低い額
耐震改修工事費補助マンション対象経費の2分の1を上限に㎡単価で算出した額、または1000万円のいずれか低い額
簡易耐震改修工事費補助戸建住宅のみ対象経費の5分の4、または60万円のいずれか低い額
屋根軽量化工事費補助木造戸建住宅のみ60万円(定額)
除却工事費補助戸建住宅のみ対象経費の23%、または48万円のいずれか低い額
佐藤
マンションの㎡単価というのはどういう計算ですか。
田中
耐震改修計画策定費補助の場合、延べ面積1000平方メートル以内の部分は1平方メートルあたり2400円、1000平方メートルを超えて2000平方メートル以内の部分は1000円、2000平方メートルを超える部分は700円を乗じて合算します。耐震改修工事費補助のマンションは、対象とする部分の面積に5000円を乗じた額が基準です。どちらも、その金額と上限額(400万円または1000万円)を比べて低い方が採用されます。
佐藤
耐震改修工事費補助や簡易耐震改修工事費補助、屋根軽量化工事費補助には経費の下限もあるんですか。
田中
はい。この3つのメニューは、補助対象となる経費が50万円未満の場合はそもそも補助の対象になりません。小規模な工事だけを切り出して申請することはできない仕組みです。

屋根軽量化工事費補助の条件

佐藤
屋根軽量化という名前だけだとイメージしづらいんですが、具体的にはどんな工事ですか。
田中
瓦など重い屋根材を軽い屋根材に葺き替えることで、建物の重心を下げて耐震性を高める工事です。改修前後の屋根の重さの組み合わせごとに、必要な「上部構造評点」が決まっています。非常に重い屋根から軽い屋根にする場合は評点0.4以上、重い屋根から軽い屋根、または非常に重い屋根から重い屋根にする場合は評点0.5以上であることが条件です。庇のような軽微な部分を除き、屋根全体を軽量化する必要があります。

除却工事費補助の追加条件

佐藤
除却、つまり取り壊しの補助はほかのメニューと条件が違いそうですね。
田中
違います。除却工事費補助は、対象住宅が西宮市の市街化区域内にあることに加えて、地震時の避難経路や緊急車両の進入路となる道路沿いに立っていることが必要です。さらに、外壁から前面道路との境界線までの距離が、平屋なら2メートル以内、2階建て以上なら4メートル以内という具体的な基準もあります。防災上重要な位置にある危険な住宅を優先的に取り壊してもらう狙いの制度だと考えられます。

業者選びと申請前の注意点

佐藤
業者は誰でもいいわけではないんですよね。
田中
耐震改修工事費補助・簡易耐震改修工事費補助・屋根軽量化工事費補助の対象工事は、住宅改修業者登録制度に登録している事業者か、兵庫県の登録を受けた事業者グループを構成し、補助実績の公表が可能な事業者との契約でなければなりません。耐震改修計画策定費補助でも、実績報告書に添付する工事見積書はこの登録業者が作成したものである必要があります。契約前に、業者がこの登録制度に入っているか確認しておくと安心です。
佐藤
さっきの注意点とも重なりますが、申請のタイミングはどう気をつければいいですか。
田中
一番大事なのは、補助金の交付決定より前に業者と契約したり、代金を支払ったりしないことです。公式ページでも明確に「補助の対象となりません」と書かれています。見積もりを取って予算感をつかんだら、まず市に申請して交付決定を受けてから契約に進んでください。また、どのメニューも国の補助金・交付金との併用はできないので、国の耐震改修支援制度を検討している場合はどちらか一方を選ぶことになります。
  1. 自宅の建築時期(昭和56年5月31日以前の着工か)と、過去の耐震診断結果を確認する
  2. 利用したいメニューを決め、住宅改修業者登録制度に登録している業者などに見積もりを依頼する
  3. 契約を結ぶ前に、西宮市建築指導課へ交付申請書を提出する
  4. 交付決定の通知を受け取ってから、工事や除却の契約・着工を行う
  5. 工事完了後、期限内に実績報告書と必要書類を提出し、補助金を受け取る

代理受領制度について

佐藤
補助金を受け取るタイミングについて、何か工夫できる仕組みはありますか。
田中
「代理受領制度」というものがあります。令和3年度から導入されている制度で、耐震改修などの費用から補助金相当額を差し引いた金額を申請者が業者に支払い、補助金そのものは業者が市から直接受領する仕組みです。申請者が一時的に全額を立て替える必要がなくなるメリットがありますが、利用するには別途、代理受領用の様式での手続きが必要です。利用を考えている場合は、通常の交付申請とあわせて建築指導課に相談してください。

他制度との併用・使いどころ

佐藤
西宮市には太陽光発電や窓のリフォームを対象にした補助金もあったと思うんですが、組み合わせられますか。
田中
耐震改修と直接組み合わせる制度ではありませんが、例えば[令和8年度西宮市戸建住宅ZEH化及び窓リノベ促進補助事業](/program/73)や[住宅リフォーム助成事業](/program/79)は対象工事の範囲が異なるので、耐震改修と合わせて住まい全体の改善を検討する際の選択肢になります。ただし、いずれの制度も国の補助金との併用制限や、対象工事の重複に関する条件があるので、複数の制度を使う場合は申請前に窓口へ内容を伝えて確認するのが確実です。
佐藤
最後に、この制度を使う前に一番確認すべきことは何ですか。
田中
まず自宅が昭和56年5月31日以前の着工かどうか、そして過去に耐震診断を受けたことがあるか診断結果はどうだったかです。この2点がはっきりしないと、どのメニューが使えるかも判断できません。そのうえで、受付期間が予定棟数に達し次第終了する運用になっているので、利用したい場合はできるだけ早めに建築指導課へ相談することをおすすめします。

公式情報