福岡県 福岡市
福岡市 介護保険住宅改修費の支給について
高齢者・障害者住宅改修要確認
佐藤
実家の父が要介護認定を受けたので、トイレに手すりを付けたいと考えています。福岡市に住んでいるんですが、介護保険で工事費が出る制度があると聞きました。どんな内容ですか。
田中
「介護保険住宅改修費の支給」ですね。要介護認定または要支援認定を受けた人が、手すりの取付けや段差の解消などの住宅改修をしたときに、改修費用(消費税込み、原則1住宅につき20万円まで)の9割・8割・7割が介護保険から給付される制度です。福岡市の公式ページでも「要介護認定又は要支援認定を受けた人が、在宅での生活に支障がないようにお住まいの住宅を改修した場合、申請により負担割合に応じて改修費用の9割、8割又は7割が介護保険から給付されます」と説明されています。全国共通の介護保険給付なので、福岡市に限らずどこの市区町村でも基本の仕組みは同じです。
工事を始める前に必ず事前申請が必要
福岡市の公式ページには「住宅改修をされる場合は、事前に申請が必要となりますので、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)等にご相談の上、必ず工事着工前に申請してください」と明記されています。さらに「確認に時間を要する場合がありますので、工事着工予定日の3営業日前(オンライン申請の場合は7営業日前)までに申請してください」ともあり、着工日の直前に慌てて申請すると間に合わない可能性があります。工事完了後の申請は対象になりません。

どんな制度か
佐藤
福岡市独自の補助金というより、国の介護保険の仕組みということですね。
田中
そのとおりです。介護保険法にもとづく全国共通の給付で、福岡市は実施主体として窓口を担っているだけです。対象者は「介護保険の要介護認定又は要支援認定を受けた人」で、年齢そのものを条件にした記載は公式ページにはありません。要介護・要支援の認定さえ受けていれば申請できる制度だと考えてください。
佐藤
具体的にはどんな工事が対象になるんですか。
田中
公式ページに列挙されている対象工事は次の6つです。(1)手すりの取付け、(2)段差の解消、(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更、(4)引き戸等への扉の取替え、(5)洋式便器等への便器の取替え、(6)これらに付帯して必要となる住宅改修、です。トイレの和式便器を洋式に取り替える、廊下に手すりを付ける、玄関の段差にスロープを設けるといった工事が典型的なイメージです。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自治体 | 福岡市 |
| 制度名 | 介護保険住宅改修費の支給 |
| 対象者 | 介護保険の要介護認定又は要支援認定を受けた人 |
| 対象工事 | 手すり取付け・段差解消・床材変更・扉の取替え・洋式便器への取替え・付帯工事 |
| 支給限度額の目安 | 改修費用(消費税込み)は原則1住宅につき20万円まで |
| 給付率 | 9割・8割・7割(負担割合に応じて変動) |
| 事前申請 | 必須(工事着工予定日の3営業日前、オンライン申請は7営業日前までに提出) |
| 支払い方法 | 償還払い/受領委任払いの2通り |
| 申請窓口 | お住まいの区の区役所保健福祉センター福祉・介護保険課 |
| 代表電話 | 092-711-4111 |
| 受付時間 | 各区役所窓口8時45分〜17時15分(土日祝、年末年始を除く) |
いくら支給されるのか
佐藤
20万円が上限というのは、工事費が20万円までしか出ないという意味ですか。
田中
少し違います。公式ページの表現では「改修費用(消費税を含み、原則1住宅につき20万円まで)の9割、8割又は7割が支給されます」となっていて、20万円は「支給される金額」ではなく「支給対象になる改修費用の上限」です。つまり、20万円の工事をした場合に給付されるのは、その9割・8割・7割にあたる18万円・16万円・14万円のいずれかになります。工事費が20万円を超えた分は、原則として自己負担です。負担割合は介護保険の利用者負担割合と同じ考え方で決まります。
佐藤
お金の受け取り方にも種類があるんですか。
田中
「償還払い」と「受領委任払い」の2通りです。償還払いは「利用者が工事費用の全額をいったん施工業者に支払い、支給対象となる工事費用の9割〜7割が後から利用者に支払われます」という方法です。受領委任払いは「利用者は支給対象となる工事費用の1割〜3割(支給対象外工事を含む場合は、その工事費用も含む)を施工業者に支払い、支給対象となる工事費用の9割〜7割は、利用者の委任を受けた施工業者に支払われます」という仕組みで、まとまった費用を一時的に立て替える負担が軽くなります。ただし受領委任払いを使う場合は、あらかじめ施工業者から承諾を得る必要があると公式ページに書かれています。市や区への事前の手続きは不要です。
申請前に確認しておきたいこと
佐藤
事前申請には何を用意すればいいんですか。
田中
公式ページの「6.事前申請に必要なもの」によると、次の7点が必要です。(1)住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャーや作業療法士などが作成したもので、資格を証明するものも添付)、(2)見積書(工事費内訳書)、(3)改修前の写真(撮影日入り)、(4)工事箇所がわかる図面、(5)所有者が本人でない場合の承諾書、(6)介護保険住宅改修費支給申請書、(7)申請者が本人以外の場合の同意書、です。所有者が配偶者や直系の血族の場合は承諾書は不要ですが、賃貸借契約がある場合は必要になります。
佐藤
工事が終わったあとの手続きも別にあるんですか。
田中
あります。「7.完了届に必要なもの」として、領収書、工事内訳書、工事箇所の図面、改修後の写真(撮影日入り)、完了届出書などを提出します。償還払いの場合は振込口座がわかるものも必要です。なお公式ページには「工事費内訳書及び住宅改修の工事個所や概要がわかる図面については、事前申請から工事内容に変更がない場合は、提出不要です(令和6年4月から)」とあり、内容に変更がなければ完了届の確認欄にチェックするだけで済む運用に変わっています。
佐藤
窓口に行かなくても申請できますか。
田中
マイナポータルを使ったオンライン申請にも対応しています。公式ページでは「下記よりお住いの区のリンクを選択し、マイナポータルを利用したオンライン申請ができます」と案内されていて、事前申請と完了届のそれぞれについて、住んでいる区ごとのリンクが用意されています。ただし「手続き内容に不備がある場合等は、別途各区福祉・介護保険課よりご連絡する場合がございます」とのことなので、入力するメールアドレスや電話番号の間違いには注意してください。着工は、承認の連絡を受けてから行う必要があります。
事前申請から支給までの流れ
- 担当のケアマネジャー(介護支援専門員)等に相談し、改修内容と「住宅改修が必要な理由書」を用意する
- 施工業者から見積りを取り、改修前の写真(撮影日入り)と図面をそろえる
- お住まいの区の福祉・介護保険課(または区ごとのオンライン申請)へ、工事着工予定日の3営業日前(オンライン申請は7営業日前)までに事前申請書一式を提出する
- 申請受理・承認の連絡を受けてから工事に着工する
- 工事完了後、写真や領収書を添えて完了届を提出し、償還払いまたは受領委任払いで住宅改修費の支給を受ける
他制度との併用・使いどころ
佐藤
福岡市には、これとは別に「住宅改造助成」という制度もあるようですが、同じものですか。
田中
別の制度です。福岡市の[住宅改造助成](/program/116)は、福岡市内に居住する65歳以上の高齢者で、要支援1・2または要介護1から5の認定を受け、介護保険料の所得段階が第1〜8段階であることが条件の、福岡市独自の上乗せ助成です。公式ページには「福岡市内に居住する65歳以上の高齢者であること」という年齢条件が明記されていて、この記事で説明している介護保険住宅改修費の支給(年齢条件の記載なし)とは対象者の範囲が違います。
佐藤
併用はできるんですか。金額を2つとも受け取れると助かるんですが。
田中
住宅改造助成の公式ページには「介護保険住宅改修費の給付対象となる工事は原則,対象外です」とはっきり書かれています。つまり、同じ工事に両方の給付を重ねて受けることはできません。介護保険住宅改修費(この記事の制度)を使い切った上で、それでも足りない工事や介護保険の対象外になる工事(玄関・廊下の拡幅、浴槽の交換、階段昇降機の設置など)がある場合に、住宅改造助成を追加で使う、という位置づけです。実際、住宅改造助成の支給内容にも「介護保険住宅改修の対象となる工事については,この助成においては10万円が限度となります」という但し書きがあり、介護保険の利用を前提にした制度設計になっています。
佐藤
つまり、まずこの記事の制度を使って、上限の20万円分の改修費用でも足りなければ住宅改造助成を検討する、という順番なんですね。
田中
そういう理解で問題ありません。年齢が65歳未満で要介護・要支援認定を受けている方は、そもそも住宅改造助成の対象外になるので、この記事の介護保険住宅改修費だけが使える制度になります。反対に65歳以上で所得が一定以下の方は、介護保険住宅改修費で対象工事を賄いつつ、玄関の拡幅や浴槽の交換など介護保険の対象にならない工事を住宅改造助成で補う、という組み合わせ方ができます。どちらを先に使うか、両方使えるかは工事内容によって変わるので、ケアマネジャーやお住まいの区の福祉・介護保険課に、工事の見積り段階で相談しておくのが安全です。
公式情報
佐藤
詳しい説明パンフレットやQ&Aも公式サイトにありますか。
田中
あります。福岡市の介護保険住宅改修費の支給についてのページに、制度説明パンフレット(PDF)と、住宅改修に関するよくある質問をまとめたQ&Aが掲載されています。申請書類の様式一覧も同じページからたどれるので、ケアマネジャーと一緒に事前に目を通しておくと準備がスムーズです。住宅改造助成との違いが気になる方は、福岡市の住宅改造助成のページもあわせて確認してください。
佐藤
最後に、申請するときに一番気をつけるべきことを教えてください。
田中
いちばん大事なのは、工事に着工する前に必ず事前申請を終えることです。公式ページでも「必ず工事着工前に申請してください」と重ねて注意されていますし、確認作業に時間がかかることを見込んで、工事着工予定日の3営業日前(オンライン申請は7営業日前)までに書類を出す必要があります。まずは担当のケアマネジャーに相談して「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらい、見積りと写真をそろえたうえで、お住まいの区の福祉・介護保険課(代表電話092-711-4111)に早めに連絡してください。