北海道 札幌市

札幌市既存集合住宅省エネ改修コンサルタント派遣事業

佐藤
マンションの管理組合をしているオーナーさんから「省エネ改修コンサルタント派遣事業」というチラシを見せられたのですが、本当に無料で専門家が来てくれるんでしょうか。怪しい勧誘ではないですよね。
田中
怪しくありません。札幌市が実施している公式の事業です。正式名称は「札幌市既存集合住宅省エネ改修コンサルタント派遣事業」で、外断熱改修に詳しい省エネ改修コンサルタントを、市が費用を負担して無料で派遣してくれます。工事費そのものへの補助金ではなく、診断や助言をしてくれる専門家を無料で呼べる制度だと考えてください。
対象は一定規模以上の集合住宅に限られます

個人の戸建て住宅は対象外です。延床面積1000平方メートル以上、地階を除く階数が原則3階以上、住戸数が概ね20戸以上の鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の集合住宅だけが対象になります。募集は2026年10月16日締切で、予算を超える応募があった場合は規模や築年数などで優先順位がつけられます。

札幌市:省エネ改修コンサルタント派遣事業の流れ
対象建物か確認、必要書類を準備、住宅課へ申請、コンサルタント派遣、改修・補助制度の検討の流れ

どんな制度か

佐藤
そもそも何をしてくれる制度なんですか。
田中
実施要綱の第4条に支援内容が定められていて、(1)省エネ性能の診断についての所有者等との打合せや協議、(2)現況の省エネ性能の調査、(3)省エネ性能の診断、(4)診断結果に基づく改修工事実施に向けた助言・提案の4つを、コンサルタントが無料で行います。UA値(断熱性能を示す指標)やBEI(一次エネルギー消費量に関する指標)を計算して、今の建物がどれくらい省エネ性能を持っているかを数値で示してもらえるイメージです。
佐藤
逆に、頼んでもやってくれないことはありますか。
田中
あります。実施要綱第5条で明確に線引きされていて、(1)建物状況調査(いわゆるインスペクション)、(2)改修工事の工事費の積算や見積の徴収、設計図書の作成、工事発注の調整、(3)集合住宅の管理そのものに関することは、コンサルタントの業務に含まれません。あくまで「省エネ診断と改修に向けた助言」までで、実際の設計や工事の発注は別途、設計事務所や施工業者に依頼する必要があります。
制度の基本情報
項目内容
自治体北海道 札幌市
制度名札幌市既存集合住宅省エネ改修コンサルタント派遣事業
内容省エネ改修コンサルタントの無料派遣(金銭補助ではない)
対象札幌市内の分譲・賃貸の集合住宅の所有者等(分譲は管理組合)
募集期間2026年9月14日から2026年10月16日まで
費用無料(派遣費用は札幌市が負担)
問い合わせ札幌市都市局市街地整備部住宅課

対象になる建物・対象者

佐藤
うちのマンションが対象になるか、どう確認すればいいですか。
田中
実施要綱第7条に10個の要件が並んでいます。規模に関する要件としては、構造が鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造であること、延床面積が1000平方メートル以上かつ地階を除く階数が原則3階以上であること、住戸数が概ね20戸以上であることの3つが挙げられます。加えて、居住用途の部分が延床面積の半分以上であることも条件に入っています。
佐藤
築年数も関係しますか。
田中
関係します。昭和56年6月1日以降に着工した建物、つまり新耐震基準の建物であるか、それより古くても建築基準法や耐震改修促進法の規定に適合すると証明されている建物であることが条件です。加えて、建築基準法第7条第5項の検査済証が発行されていて、それを証明する書類を提出できることも必要です。分譲の場合は長期修繕計画が作成されていること、外壁および屋上防水の工事を含む大規模修繕工事が概ね5年以内に予定されていることも条件に含まれます。
佐藤
賃貸マンションの場合はどうですか。
田中
賃貸の集合住宅の場合は、所有者が札幌市民であるか、会社法に基づいて本店または支店が札幌市内に登記されている営利法人であることが条件です。国や地方公共団体、独立行政法人などが所有する建物は対象外とされています。なお、同一の所有者等が申請できるのは1棟までと決められているので、複数の建物をまとめて申請することはできません。

コンサル派遣で浮く費用の考え方

佐藤
一番知りたいのですが、これって普通に依頼したらいくらかかるコンサルティングなんですか。
田中
公式ページには具体的な相場の金額は書かれていません。ただ、UA値やBEIの計算を伴う省エネ性能診断は、本来なら建築士事務所や省エネ診断の専門会社に個別に発注する業務です。正確に「いくら浮くか」を金額で示すことはできませんが、少なくとも診断・助言にかかる委託費用を管理組合や所有者が別途支払わずに済む、という点は要綱で保証されています。金額が読めない分、「まず無料で専門家の意見を聞いてから、有料の設計や工事に進むかどうかを判断できる」ことがこの制度の一番の価値だと考えるとよいと思います。
佐藤
費用の負担については要綱にも書かれているんですね。
田中
はい。実施要綱第6条に「省エネ改修コンサルタントの派遣に要する費用は、札幌市が負担する」と明記されています。ただし第16条には、不正な申請などを理由に決定が取り消された場合、既に発生していた費用相当額を所有者等が市に支払わなければならないという規定もあります。正当に利用している限り気にする必要はありませんが、虚偽の申請はしないという当然の注意点として覚えておいてください。

申請前の注意点

佐藤
申し込むときに準備しないといけない書類はありますか。
田中
申請書(様式第1号)に加えて、実施要綱第8条第1項で6種類の添付書類が定められています。共通で必要なのは、(1)検査済証の写しまたは検査済証を受けた事実が分かる書類、(3)住戸数・延床面積が分かる管理規約等の写しです。分譲の場合はさらに、(2)長期修繕計画の写しと、(5)区分所有法第34条に規定する集会または管理規約に規定する理事会で決定したことが分かる議事録等の写しが必要です。賃貸の集合住宅の場合は、(4)3か月以内に発行された建物登記事項証明書(所有者の権利に関する事項に差押え等の登記がないもの)の提出が必須で、これは賃貸オーナーが見落としやすいポイントです。加えて所有者が複数いる場合は、(6)所有者全員の同意書も必要になります。
佐藤
提出方法はどうすればいいですか。
田中
書面または電子データでの提出が可能です。郵送の場合は札幌市都市局市街地整備部住宅課宛て、メールの場合はjutakukikaku@city.sapporo.jp宛てで送ります。メールは4メガバイトを超えるファイルは分割して送る必要があります。
申し込みまでの流れ
  1. 実施要綱で対象建物の10要件を満たすか確認する
  2. 検査済証や長期修繕計画など必要書類をそろえる
  3. 様式第1号の申請書に添付書類を添えて住宅課へ郵送またはメールで提出する
  4. 審査を経て派遣決定通知または派遣しない旨の通知を受け取る
  5. コンサルタントの診断・助言を受け、改修の検討や補助制度の申請につなげる
佐藤
予算オーバーで断られることもあるんですね。
田中
あります。募集期間内に予算の範囲を超える応募があった場合、実施要綱第9条第3項に基づいて、(1)集合住宅の規模、(2)集合住宅の築年数、(3)札幌市立地適正化計画の集合型居住誘導区域の内外、という順番で優先度が判断されます。今回の募集期間は2026年9月14日から2026年10月16日までなので、対象になりそうな建物は早めに書類を準備しておくのがよいと思います。
佐藤
一度申し込んだ後にやめたくなったらどうすればいいですか。
田中
派遣が実施される日の7日前(土曜日・日曜日・国民の祝日を除く)までに、様式第4号の取下届を提出すれば取り下げられます。内容を変更したい場合も同様に、7日前までに様式第6号の変更申請書を提出する必要があります。

他制度との併用・使いどころ

佐藤
このコンサル派遣を受けた後、実際の改修工事にはお金がかかりますよね。
田中
そうですね。診断の結果、外断熱改修が有効だと分かった場合は、同じ札幌市の[札幌市既存集合住宅外断熱改修事業補助金](/program/92)のような工事費への補助制度を検討する流れになります。今回のコンサル派遣は「まず無料で状況を把握する」段階、外断熱改修補助金は「実際の工事費を補助してもらう」段階と、役割が分かれていると考えると分かりやすいです。どちらも札幌市都市局市街地整備部住宅課が所管しています。
佐藤
最後に、公式情報はどこで確認すればいいですか。
田中
札幌市の既存集合住宅省エネ改修コンサルタント派遣事業のページで、実施要綱や申請書の様式もダウンロードできます。不明な点があれば、札幌市都市局市街地整備部住宅課(電話011-211-2807)に問い合わせるのが確実です。