神奈川県 川崎市
耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度(川崎市)
耐震・防災要確認
佐藤
川崎市の「耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度」というのを見つけました。実家が古い木造の一戸建てなんですが、家全体を耐震改修するのは費用も工期も大変そうで、もっと手軽な方法がないか探しています。
田中
それなら候補になる制度です。これは川崎市が実施している助成で、家全体を補強するのではなく、寝室や居間などの一部屋に「耐震シェルター」や「防災ベッド」を設置し、地震で住宅が倒壊しても居住者の命を守れる安全な空間を確保するための費用を助成するものです。家全体の耐震改修に比べると、対象になる工事の範囲が狭い分、費用も工期も抑えられるのが特徴です。
佐藤
耐震シェルターと防災ベッドは、それぞれどう違うんですか。
田中
耐震シェルターは、住宅の一部屋(居間や寝室)にフレーム等を設置して、その部屋を一時的な避難場所として使えるようにするものです。防災ベッドは、普段使っているベッドにフレーム等を設置し、就寝中に住宅が倒壊してもベッドの部分だけは押しつぶされないようにするものです。どちらも「家全体を補強する」のではなく、「命を守れる空間だけを確保する」という考え方の制度です。
佐藤
うちの実家に使えるか、対象の条件を教えてください。
田中
対象になるのは、次の条件をすべて満たす住宅です。まず昭和56年5月31日以前に工事着手されたもの。次に木造で建築された一戸建て住宅または店舗等併用住宅であること(防災ベッドについては長屋・共同住宅も含まれます)。さらに耐震診断の結果、地震に対して安全でないと確認されていること。そして1階に耐震シェルターまたは防災ベッドを設置できることです。この4つすべてに当てはまる必要があります。
事前の耐震診断と、耐震改修助成との重複不可に注意
公式ページには「本制度を利用される前に、必ず耐震診断を行ってください」と明記されています。耐震診断を受けずに対象製品を購入・設置しても助成を受けられません。また「市の制度を利用して耐震改修を行われている場合、対象外となる」ともあるため、川崎市の木造住宅耐震改修助成制度をすでに利用している(利用する予定の)住宅では、この制度は使えません。どちらか一方を選ぶ必要があります。

どんな制度か
佐藤
あらためて、この制度の位置づけを整理してもらえますか。
田中
川崎市の「耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度」は、昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅のうち、耐震診断で「安全でない」と判定された住宅を対象に、耐震シェルターまたは防災ベッドの購入・設置費用の一部を助成する制度です。担当は木造住宅耐震改修助成制度と同じ、川崎市まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課耐震化支援担当で、公式ページの公開日は2023年4月1日、直近の更新日は2026年4月1日です。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施主体 | 川崎市 |
| 制度名 | 耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度 |
| 対象者 | 対象住宅の所有者又は所有者から委任を受けた者(市外在住でも川崎市内に住宅があれば申請可) |
| 対象住宅 | 昭和56年5月31日以前着工の木造一戸建て・店舗等併用住宅(防災ベッドは長屋・共同住宅も含む)。1階に設置可能で、耐震診断の結果「安全でない」もの |
| 補助額(耐震シェルター) | 購入・設置費用の9/10以内、上限30万円 |
| 補助額(防災ベッド) | 購入・設置費用の9/10以内、上限10万円 |
| 申請回数 | 耐震シェルターは1棟につき1回限り、防災ベッド(テーブル含む)は居住人数分を限度に1回。同一住宅でシェルターとベッドの重複申請は不可 |
| 事前手続き | 耐震診断が必須(無料の木造住宅耐震診断士派遣制度を利用可能) |
| 併用の可否 | 市の制度で耐震改修を行っている(行う)住宅は対象外 |
| 対象製品 | 市が公表する対象製品一覧から選ぶ必要あり |
| 募集期限 | 公式ページに募集終了日の記載なし(継続実施) |
| 問い合わせ先 | 川崎市まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017) |
佐藤
補助率9/10というのはかなり手厚いですね。
田中
そうですね。耐震シェルターは購入・設置費用の9/10以内で上限30万円、防災ベッド(テーブルタイプ含む)は同じく9/10以内で上限10万円です。仮に耐震シェルターの購入・設置費用が33万円台なら、その9割にあたる約30万円がほぼ上限額まで助成される計算になります。ただし対象になるのは市が公表している対象製品一覧に載っている製品に限られるので、好きな製品を自由に選べるわけではない点は押さえておいてください。
対象者・対象住宅・申請回数の注意点
佐藤
申請できる人の条件も確認したいです。
田中
助成金の交付を受けられるのは、対象になる木造住宅の所有者、または所有者から委任を受けた人です。申請者本人が市外に住んでいても、対象住宅が川崎市内にあれば申請できます。ここは木造住宅耐震改修助成制度と同じ考え方です。
佐藤
申請できる回数に制限はありますか。
田中
あります。耐震シェルターは1棟につき1回限りです。防災ベッド(テーブルを含む)は、対象住宅に居住している人数分を上限に、1人1回まで申請できます。たとえば2人暮らしの世帯であれば、防災ベッドを2台まで申請できる可能性があるということです。また同一の住宅で、耐震シェルターと防災ベッドを重複して申請することはできません。どちらか一方を選ぶ必要があります。
佐藤
この制度と、家全体を改修する木造住宅耐震改修助成制度は、対象になる建築年の基準が違うんですか。
田中
はい、そこは注意が必要な点です。木造住宅耐震改修助成制度は令和8年4月の対象拡充によって、昭和56年5月以前の旧耐震基準の住宅に加えて、平成12年5月31日以前に着工された新耐震基準の木造住宅まで対象が広がっています。一方でこの耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度は、公式ページに「昭和56年5月31日以前に工事着手されたもの」とだけ明記されており、耐震改修助成制度と同じ拡充の記載は確認できません。つまり昭和56年6月以降・平成12年5月以前に着工した新耐震基準の木造住宅は、耐震改修助成制度なら対象になり得ても、このシェルター・防災ベッド助成の対象にはならない可能性があるということです。該当しそうな築年の住宅は、自己判断せず窓口に確認することをおすすめします。
申請前の注意点
佐藤
申請する前に準備しておくべきことはありますか。
田中
まず必ず耐震診断を受けて、「地震に対して安全でない」という結果を得ておく必要があります。診断を受けていない状態で対象製品を先に購入・設置しても助成の対象にはなりません。川崎市には無料の木造住宅耐震診断士派遣制度があるので、まだ診断を受けていない場合はそちらを先に利用するとよいでしょう。次に、設置したい製品が市の対象製品一覧に載っているかどうかを確認してください。一覧にない製品は助成対象外です。そしてもう一つ、市の耐震改修助成制度をすでに利用して耐震改修工事を行っている(行う予定の)住宅は、この制度の対象外になるため、耐震改修とシェルター・防災ベッドのどちらを選ぶかを先に決めておく必要があります。
佐藤
交付が決まる前に製品を購入してしまっても大丈夫ですか。
田中
慎重に考えたほうがよい部分です。公式ページの本文には「交付決定前の購入・設置は対象外」という一文そのものは見当たりませんが、申請様式には交付申請書のほかに変更申請書・変更届・取止届・完了報告書まで用意されており、市の審査を経て交付が決定してから設置・完了報告という流れを前提にした制度設計になっています。多くの自治体の同種の助成制度では、交付決定前に契約・購入・設置を済ませてしまうと対象外になるケースが多いため、先に製品を買ってしまう前に、防災まちづくり推進課へ申請の流れと購入のタイミングを確認しておくことを強くおすすめします。
耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度の申請の流れ
- 耐震診断を受け、「地震に対して安全でない」という結果を得る(無料の木造住宅耐震診断士派遣制度を利用可能)
- 自宅が対象住宅の条件(着工時期・構造・1階への設置可否)に当てはまるか確認する
- 市が公表している対象製品一覧から、設置したい耐震シェルターまたは防災ベッドを選ぶ
- 防災まちづくり推進課耐震化支援担当へ交付申請書を提出する(オンライン申請にも対応)
- 市の審査・交付決定を経て製品を設置し、完了報告書を提出する
佐藤
オンラインでも申請できるんですね。
田中
はい、川崎市耐震シェルター等設置助成金交付要綱に基づく手続きはオンラインでも可能です。ただしオンラインで添付できるのは申請書等の様式のみで、それ以外の添付書類一式は防災まちづくり推進課へ郵送する必要があります。また「川崎市耐震シェルター等設置助成金交付申請書」をオンラインで申請する場合も、事前に必ず耐震診断を行っておく必要がある点は変わりません。
他制度との併用・使いどころ
佐藤
川崎市には他にも耐震関連の制度がありますが、どう使い分ければいいですか。
田中
川崎市の木造住宅向け耐震関連制度は、大きく3つに整理できます。1つ目が今回のシェルター・防災ベッド設置助成制度、2つ目が家全体または部分的に補強工事を行う[木造住宅耐震改修助成制度](/program/126)、3つ目がマンション向けの[マンション耐震改修等事業助成制度](/program/107)です。マンションにお住まいなら3つ目、木造の戸建てで家全体をしっかり補強したいなら2つ目、工期や費用を抑えてまず命を守れる空間だけ確保したいなら今回の制度、というように選ぶとよいでしょう。なお2つ目の耐震改修助成制度を利用する(利用している)住宅では、今回のシェルター・防災ベッド助成は使えないので、どちらか一方を選ぶ判断が必要です。
佐藤
最後に、申請を検討している人へのアドバイスをお願いします。
田中
まず自宅が昭和56年5月31日以前着工の木造一戸建て(防災ベッドなら長屋・共同住宅も可)にあてはまるか確認し、無料の木造住宅耐震診断士派遣制度を使って耐震診断を受けてください。診断で「安全でない」と確認されたら、家全体を補強する耐震改修助成制度を使うか、今回のシェルター・防災ベッド設置助成を使うかを検討します。予算や工期の都合ですぐに家全体の改修が難しい場合でも、シェルターなら上限30万円、防災ベッドなら上限10万円、いずれも費用の9/10以内という手厚い助成を受けながら、まず命を守れる空間を確保できます。申請前には対象製品一覧の確認と、防災まちづくり推進課への相談を忘れないようにしてください。
公式情報
- 川崎市:耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度(公式ページ)
- 川崎市:木造住宅耐震診断士派遣制度(公式ページ)
- 問い合わせ先: 川崎市まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017)