福岡県 福岡市

雨水流出抑制施設助成制度(福岡市)

佐藤
福岡市に住んでいるんですが、「雨水流出抑制施設助成制度」という名前を市のホームページで見かけました。雨水タンクの購入を考えているので気になっています。
田中
それはちょうど雨水タンクや雨水浸透施設の設置費用を助成する福岡市の制度です。正式名称は「雨水流出抑制施設助成制度」で、雨水貯留タンク・雨水浸透ます・雨水浸透管の3種類が対象になっています。屋根に降った雨をいったん敷地内で貯めたり地下に浸透させたりすることで、川や下水道に一気に雨水が流れ込むのを抑え、浸水被害を軽減する狙いの制度です。
佐藤
雨水タンクだけでなく、浸透施設というのもあるんですね。うちは一戸建てなんですが、両方使えますか。
田中
制度上は両方申請できますが、対象条件が少し違います。雨水貯留タンクは福岡市内全域が対象で、土地・建物を所有している人、または使用している人が対象者です。一方の雨水浸透ます・浸透管は「市街化区域」に限られていて、対象者も所有者・使用者に加えて新築や増築を行う人も含まれます。ただし市街化区域の中でも、地形・地質等により雨水を浸透させることが不適当と判断された区域や、「福岡市開発行為の許可等に関する条例」第4条に基づいて定められた開発区域は除かれるので、浸透施設を検討する場合は事前に窓口で対象地域かどうかを確認したほうがいいです。
購入・設置前の交付決定通知が必須

公式ページには「雨水貯留タンク・雨水浸透ます等の購入・設置の前に申請が必要です。購入・設置後の申請は助成の対象外となり、受付できません」と明記されています。先にタンクを買ってしまったり、浸透ます・浸透管の工事に着手してしまうと、あとから申請しても助成は受けられません。必ず交付決定通知を受け取ってから購入・工事に進んでください。

福岡市雨水流出抑制施設助成制度の申請から助成金受け取りまでの流れ
申請書提出、市の審査、交付決定通知、設置工事、完了報告と検査を経て助成金を受け取る5ステップ

どんな制度か

佐藤
あらためて、この制度の位置づけを教えてください。
田中
福岡市の「雨水流出抑制施設助成制度」は、道路下水道局管理部下水道管理課が実施している制度で、個人が設置する雨水貯留タンク・雨水浸透ます・雨水浸透管の費用の一部を助成します。短時間強雨による浸水被害を減らすため、各家庭の敷地内で雨水を一時的に抑えてもらう、市民との協働という位置づけの制度です。
制度の基本情報
項目内容
実施主体福岡市(道路下水道局管理部下水道管理課)
制度名雨水流出抑制施設助成制度(雨水貯留タンク、雨水浸透ます、雨水浸透管)
対象者(貯留タンク)福岡市内で土地・建物を所有する方、または使用している人
対象者(浸透施設)市街化区域で、土地・建物を所有する方、新築・増築を行う人、または既存の建物を使用している人
対象地域貯留タンクは福岡市内全域、浸透施設は市街化区域(浸透が不適当な区域・開発区域は除く)
助成額(貯留タンク)購入代金の1/2、上限は100~500リットル未満で1.5万円、500リットル以上で3万円(1家屋1回のみ)
助成額(浸透ます・浸透管)既存建築物は工事費全額、新築・増築は工事費半額。1家屋あたりの上限は既存建築物10万円、新築・増築5万円
事前手続き購入・設置(工事着手)前に交付決定通知を受け取ることが必須
申請期間毎年度4月1日~12月15日(先着順、予算の範囲内)
完了報告期限毎年度1月15日まで
滞納要件下水道使用料または受益者負担金を滞納していると助成を受けられない
問い合わせ先福岡市道路下水道局管理部下水道管理課(電話092-711-4534)
佐藤
助成額の計算がちょっと複雑そうです。もう少し具体的に教えてもらえますか。
田中
貯留タンクから説明します。助成額は「タンクの購入代金(本体価格+接続に必要なパイプ等の価格の合計、消費税込み)の1/2」ですが、容量帯ごとに上限が決まっています。容量が100リットル以上500リットル未満なら上限1.5万円、500リットル以上なら上限3万円です。例えば200リットルのタンクを4万円で購入した場合、単純計算では4万円÷2=2万円になりますが、100~500リットル未満の上限1.5万円を超えるため、実際の助成額は1.5万円になります。
佐藤
浸透ます・浸透管のほうはどうですか。
田中
こちらは設置工事費(材料費+設置費用、消費税込み)が対象で、既存の建物に設置する場合は工事費の全額、新築・増築にあわせて設置する場合は半額が対象になります。単価の上限は、浸透ますが既存建築物2万円/基・新築増築1万円/基、浸透管が既存建築物7千円/m・新築増築4千円/mです。さらに1家屋あたりの上限額があり、既存建築物は10万円まで、新築・増築は5万円までです。例えば浸透ます4基と浸透管10mを合計15万円で設置する場合、既存建築物なら本来は15万円全額が対象ですが、1家屋の上限10万円を超えるため助成額は10万円、新築・増築なら半額の7.5万円が対象になりますが、これも上限5万円を超えるため助成額は5万円になります。

対象になる住宅・気をつけたい条件

佐藤
誰でも申請できるわけではないんですよね。
田中
そうです。まず下水道使用料または受益者負担金を滞納している人は、この助成を受けられません。また浸透施設については市街化区域の中でも、地形・地質等から見て雨水を浸透させるのに適さないと判断された区域や、「福岡市開発行為の許可等に関する条例」第4条に基づく開発区域は対象から除かれます。自分の土地がどちらに当たるかは自己判断せず、申請前に道路下水道局管理課に確認しておくのが確実です。
佐藤
浸透ます・浸透管を設置する場合、業者は自由に選べますか。
田中
「雨水浸透施設の申請をされる方へ」という案内によると、浸透ます・浸透管の工事は福岡市の排水設備指定工事店と契約する必要があります。ハウスメーカー等を通す場合でも、そのハウスメーカーと指定工事店との契約書があれば認められます。申請の段階で、指定工事店との契約が確認できる書類または見積書の準備が必要になるので、工事を依頼する前に相手が指定工事店かどうかを確認してください。

申請前の注意点

佐藤
申請するときに特に気をつけることはありますか。
田中
一番重要なのは、繰り返しになりますが購入・設置(浸透施設は工事着手)の前に交付決定通知を受け取ることです。市の審査を経て交付決定通知(助成予定額の通知)が届いた後でなければ、タンクの購入や浸透ます・浸透管の工事に進めません。また浸透施設の工事では、着工前・掘削完了・透水シート張り完了・底部砕石完了・浸透桝設置完了・浸透管敷設完了(全延長)・砂埋め戻し完了・工事完了という各段階の写真を工事店に撮ってもらう必要があります。これらの写真は完了実施報告書と一緒に提出するので、工事を依頼する際に忘れずに指示しておいてください。
佐藤
申請の期限も決まっているんですね。
田中
はい。助成金交付の申請は毎年度4月1日から12月15日までで、予算の範囲内で先着順に受け付けられます。年度末近くに思い立っても、その年度の予算が埋まっていれば受け付けてもらえない可能性があるので、検討しているなら早めに動いたほうが安心です。また設置が完了した後の完了実施報告書の提出は、毎年度1月15日までという別の期限があります。申請から設置、完了報告まで、2つの期限を意識しておく必要があります。

申請の流れ

佐藤
実際の手続きはどう進めればいいですか。
田中
公式ページと手続きフローの案内をまとめると、次のような流れになります。
雨水流出抑制施設助成制度の申請の流れ
  1. ホームページから様式をダウンロードするか、電話・メールで市に様式の送付を依頼する
  2. 申請書(様式1)、位置図、必要な場合は同意書(様式9)、浸透施設の場合は見積書を添えて、毎年度12月15日までに助成金交付の申請をする(郵送または電子メールも可)
  3. 市の審査を受け、交付決定通知(助成予定額の通知)を受け取る
  4. 交付決定通知を受け取ったあとに、タンクの購入・設置、または浸透ます・浸透管の工事(指定工事店と契約)を行う
  5. 設置完了後、完了実施報告書(様式7)・領収書(浸透施設は工事写真も)を毎年度1月15日までに提出し、市の検査を受けて助成金額確定通知後に助成金の交付を受ける
佐藤
電子申請にも対応しているんですか。
田中
対応しています。オンライン申請のほか郵送・メールでの申請も可能です。ただしメールでのやり取りをする場合、審査に時間がかかったり返信が来なかったりすることがあるため、公式の案内では「精査期間の2週間を超えても市から返信がない場合は連絡してほしい」「@city.fukuoka.lg.jpのドメイン指定を解除しておいてほしい」と注意喚起されています。迷惑メールフォルダに振り分けられて気づかないケースを防ぐためにも、事前にメールの受信設定を確認しておくと安心です。

他制度との併用・使いどころ

佐藤
福岡市には他にも住宅向けの助成制度がありますよね。
田中
はい。例えばブロック塀の安全対策としては[福岡市 ブロック塀等除却費補助事業](/program/119)があります。今回の雨水流出抑制施設助成制度は浸水対策、ブロック塀の制度は地震時の倒壊対策と目的が異なるので、対象となる工事が別であれば両方を利用できる可能性があります。ただし制度ごとに予算や審査基準が異なるので、複数の制度を組み合わせたい場合は、それぞれの窓口に併用の可否を確認してください。
佐藤
最後に、この制度を検討している人へのアドバイスをお願いします。
田中
雨水タンクを置きたいだけなら手続きは比較的シンプルですが、浸透ます・浸透管を設置する場合は指定工事店との契約や工事写真の準備など、確認すべき点が増えます。いずれの場合も「先に買わない・先に着工しない」というルールと、申請は12月15日まで・完了報告は1月15日までという2つの期限を守ることが助成を受けるための最低条件です。まずは道路下水道局管理課(電話092-711-4534、受付時間9時30分~11時30分、13時00分~16時00分)に、自分の土地が対象地域に入るかどうかを確認するところから始めてください。

公式情報