神奈川県 川崎市

木造住宅耐震改修助成制度(川崎市)

佐藤
川崎市に「木造住宅耐震改修助成制度」というのがあるみたいです。実家が川崎市内にあって、木造の古い一戸建てなんですが、使えそうでしょうか。
田中
対象になる可能性があります。この制度は川崎市が実施している木造住宅向けの耐震改修助成で、正式名称は「木造住宅耐震改修等事業助成制度」です。対象になる住宅は、平成12年5月31日以前に建築工事に着手した木造2階建て以下の住宅で、一戸建て住宅だけでなく共同住宅・長屋・店舗等併用住宅も含まれます。公式ページには「昭和56年5月以前に建築された旧耐震基準の木造住宅及び平成12年5月以前に建築された新耐震基準の木造住宅を対象としています」と注記があり、いわゆる旧耐震・新耐震のどちらの区分でも、着工が平成12年5月31日以前であれば対象になり得ます。
佐藤
平成12年って区切りが少し珍しい気がします。昭和56年(1981年)の新耐震基準じゃないんですか。
田中
そこは木造住宅特有の事情です。平成12年(2000年)6月に建築基準法が改正され、木造住宅の耐震性に関わる基礎や壁のバランス、接合部の金物などのルールが大きく強化されました。そのため川崎市のこの制度では、昭和56年5月以前の旧耐震基準の住宅に加えて、昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた新耐震基準の住宅も、木造特有の弱点が残っている可能性があるとして対象に含めています。逆に平成12年6月以降に着工した木造住宅は、この制度の対象外になります。
佐藤
構造の条件も確認したいです。うちは木造の在来工法だと思うんですが。
田中
それなら条件に合います。公式ページには「木造在来工法のもの(ツーバイフォー工法・パネル工法は対象外)」と明記されているので、柱と梁で骨組みを組む一般的な在来工法が対象で、枠組壁工法(いわゆる2×4)やパネル工法の住宅は対象外です。また「木造2階建て以下のもの(一部鉄骨造等の混構造は対象外)」ともあるので、木造以外の構造が一部でも混ざっている住宅は対象から外れる点は注意してください。
交付決定通知の前に契約・着工すると対象外

公式ページには「交付決定通知を受け取る前に行った工事契約等は助成対象外」と明記されています。見積もりを取るところまでは自由ですが、耐震改修計画や補強工事の契約を結ぶのは、市から交付決定通知を受け取ったあとにしてください。先に契約や着工をしてしまうと、あとから申請しても助成は受けられません。

川崎市木造住宅耐震改修助成制度の申請から工事完了までの流れ
現地調査の申込、事前審査、正式申請、交付決定通知、工事契約・着工・完了報告の5ステップ

どんな制度か

佐藤
あらためて、この制度がどんな位置づけなのか整理してもらえますか。
田中
川崎市の「木造住宅耐震改修等事業助成制度」は、平成12年5月31日以前に着工された木造2階建て以下の住宅を対象に、耐震改修計画の作成費用と、実際の補強工事(工事監理を含む)の費用を助成する制度です。所有者本人だけでなく、所有者から委任を受けた人も申請できます。また市外に住んでいても、川崎市内に対象住宅があれば申請可能です。担当は川崎市まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課耐震化支援担当で、制度の詳細や最新の運用状況もこの窓口に確認するのが確実です。
制度の基本情報
項目内容
実施主体川崎市
制度名木造住宅耐震改修等事業助成制度(木造住宅耐震改修助成制度)
対象者対象住宅の所有者又は所有者から委任を受けた者(市外在住でも申請可)
対象住宅平成12年5月31日以前着工の木造2階建て以下、一戸建て・共同住宅・長屋・店舗等併用住宅、木造在来工法(ツーバイフォー・パネル工法は対象外)
補助額(建物全体・一般世帯)耐震改修計画:補助率4/5・限度額20万円、補強工事(工事監理含む):補助率4/5・限度額110万円、合計限度額130万円
補助額(建物全体・非課税世帯)耐震改修計画:補助率4/5・限度額20万円、補強工事:補助率4/5・限度額160万円、合計限度額180万円
事前手続き現地調査(事前審査)の申込が必須、交付決定通知前の契約・着工は対象外
診断士・施工者市に登録された木造住宅耐震診断士・木造住宅耐震改修施工者から選定する必要あり
募集期限公式ページに募集終了日の記載なし(継続実施)
問い合わせ先川崎市まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017)
佐藤
「非課税世帯」だと補助額が増えるんですね。
田中
はい。建物全体を改修する場合、一般世帯(非課税世帯以外)は耐震改修計画が限度額20万円・補助率4/5、補強工事(工事監理を含む)が限度額110万円・補助率4/5で、合計の限度額は130万円です。これが市民税非課税世帯になると、耐震改修計画の限度額は同じ20万円ですが、補強工事の限度額が160万円に増え、合計限度額は180万円になります。非課税世帯にあたるかどうかは世帯全員の市民税・県民税の課税状況で判断されるので、詳しい判定は窓口で確認してください。

対象になる住宅・部分改修という選択肢

佐藤
建物全体を改修する余裕がない場合はどうなりますか。
田中
「部分改修」という区分も用意されています。建物全体ではなく一部の耐震補強にとどめる工事で、一般世帯は部分耐震改修計画が補助率2/3・限度額20万円、部分補強工事が補助率2/3・限度額80万円で合計限度額100万円、非課税世帯は部分耐震改修計画が補助率3/4・限度額20万円、部分補強工事が補助率3/4・限度額115万円で合計限度額135万円です。補助率・限度額とも建物全体改修より低めに設定されているので、予算や工事内容に応じて全体改修か部分改修かを、市や登録診断士と相談しながら選ぶことになります。
補助額の早見(限度額・補助率)
区分世帯計画費工事費(工事監理含む)合計限度額
建物全体改修一般世帯4/5・20万円4/5・110万円130万円
建物全体改修非課税世帯4/5・20万円4/5・160万円180万円
部分改修一般世帯2/3・20万円2/3・80万円100万円
部分改修非課税世帯3/4・20万円3/4・115万円135万円
佐藤
対象外になってしまう住宅もありますか。
田中
あります。公式ページには「明らかに、建築基準法に適合しないもの」は助成金の交付対象にならないと明記されていて、この判定のために市の職員が現地調査を行います。また繰り返しになりますが、木造在来工法以外(ツーバイフォー工法・パネル工法)や、鉄骨造等が一部混ざった混構造の住宅も対象外です。自己判断で「うちは対象外だろう」と諦めず、まずは窓口に現地調査を申し込んで確認するのが確実です。

申請前の注意点

佐藤
申請の準備で特に気をつけることはありますか。
田中
一番大事なのは、耐震改修計画も補強工事も、市の登録を受けた木造住宅耐震診断士・木造住宅耐震改修施工者の中から選ぶ必要があるという点です。知り合いの工務店に頼めば自動的に使える制度ではありません。登録診断士は建築士の資格と5年以上の実務経験、建築士事務所登録などの要件を満たした人が登録されており、登録施工者も建設業許可や一定の実務経験が条件になっています。名簿は防災まちづくり推進課の案内ページで確認できます。工事の請負契約そのものは、申請者本人が選んだ施工者と直接結ぶ民事契約になる点も押さえておいてください。
佐藤
もう一つ、助成を受けるとお金以外のメリットもあるんですか。
田中
あります。改修工事が完了すると住宅耐震改修証明書の交付を受けられる場合があり、これを使うと所得税の特別控除や固定資産税の減額といった税制優遇の対象になることがあります。ただし適用要件は税制側の制度によるので、詳しくは税務署や市の窓口に確認してください。この記事では助成制度そのものの内容を中心に説明しています。

申請の流れ

佐藤
実際の手続きはどう進めればいいですか。
田中
公式ページの案内に沿うと、次の流れになります。
木造住宅耐震改修助成制度の申請の流れ
  1. 防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017)へ、現地調査(事前審査)の申込を行う
  2. 市による現地調査(事前審査)を受け、結果の通知を受け取る
  3. 事前審査の結果をふまえて、正式な交付申請書を提出する
  4. 交付決定通知を受け取る(ここまでは工事契約を結ばない)
  5. 交付決定通知の内容にもとづいて登録施工者と工事契約を結び、着工・工事監理・完了報告を行う
佐藤
事前審査から交付決定まで、けっこう段階が多いんですね。
田中
そうですね。現地調査で対象住宅として認められたあとも、正式な申請書類の審査を経てから交付決定通知が出るので、相談を始めてから実際に工事を契約できるまである程度の期間を見込んでおく必要があります。急いで見積もりを取って先に契約してしまうと、その分の費用が助成対象から外れてしまうので、スケジュールに余裕を持って動くことをおすすめします。オンライン申請にも対応しているので、書類のやり取り自体は市役所に何度も足を運ばなくても進められる部分があります。

他制度との併用・使いどころ

佐藤
川崎市には他にも耐震関連の制度がありますか。
田中
はい。この記事で扱っている木造住宅向けの制度とは別に、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で階数3以上・専有部分6以上のマンションを対象にした[マンション耐震改修等事業助成制度](/program/107)が川崎市にはあります。ご自宅が木造の戸建てや長屋であれば今回の制度、大規模な分譲マンションであればマンション向けの制度、というように対象建築物の構造・規模で使う制度が分かれているので、混同しないように気をつけてください。
佐藤
最後に、申請を検討している人へのアドバイスをお願いします。
田中
まず自宅が平成12年5月31日以前着工の木造在来工法・2階建て以下にあてはまるかを確認したうえで、いきなり工務店に見積もりを頼むのではなく、防災まちづくり推進課へ現地調査の申込をするところから始めてください。登録診断士・登録施工者の選定や、交付決定通知が出るまで契約しないというルールを守れば、130万円(非課税世帯なら180万円)を上限に耐震改修計画と補強工事の費用の一部が助成されます。対象基準は令和8年4月時点ですでに平成12年5月31日以前着工の新耐震基準の住宅まで拡充されていますが、細かな運用は変わることもあるので、直近で検討している人は窓口で最新情報を確認することをおすすめします。

公式情報