神奈川県 横浜市

住宅除却補助制度(横浜市)

佐藤
横浜市内に、親から相続した古い木造の空き家があります。もう住む人がいないので解体したいのですが、費用がかなりかかりそうで悩んでいます。横浜市に解体費用を補助してくれる制度はありますか。
田中
あります。「住宅除却補助制度」という横浜市の制度で、耐震性が不足する木造住宅等の解体工事費用の一部を市が補助してくれます。窓口は横浜市建築局建築防災課耐震事業担当です。ただし、どんな古い家でも対象になるわけではなく、着工時期と耐震性の両方の条件を満たす必要があります。
工事契約・着工の前に交付決定を受ける必要があります

公式ページには「補助金交付決定通知書受領後でなければ、契約・工事着手できません」と明記されています。見積もりを取ってそのまま解体業者と契約したくなりますが、交付決定より前に契約や着工をしてしまうと、原則として補助を受けられなくなります。必ず先に横浜市へ申請し、交付決定を受けてから契約・着工してください。

横浜市住宅除却補助制度の申請フロー
耐震性チェック、申請書提出、交付決定、解体工事着手、完了報告の流れ

どんな制度か

佐藤
そもそも、どういう住宅が対象になるんですか。
田中
条件は2つあります。1つ目は「平成12年5月末日以前に新築の工事に着手した建築物」であること。2つ目は、耐震性チェックの結果「耐震性が低い(倒壊の危険性がある)」と判断されることです。この2つを両方満たす木造住宅等が対象です。築年数が古いだけでは対象にならず、耐震性が不足していることの確認が必要な点に注意してください。
佐藤
「平成12年5月末以前」といっても、かなり幅がありますよね。
田中
そうですね。横浜市はこの中でも着工時期を2区分に分けています。「旧耐震建築物」は昭和56年5月末以前に着工したもの、「新耐震建築物」は昭和56年6月から平成12年5月末以前に着工したものです。この区分によって、後で説明する補助上限額が変わります。
制度の基本情報
項目内容
制度名住宅除却補助制度
実施主体横浜市(建築局建築防災課耐震事業担当)
対象建築物平成12年5月末以前に着工し、耐震性チェックで耐震性が低いと判断された木造住宅等
対象者解体する建築物の所有者(法人を除く)
補助額(旧耐震建築物)50万円と「2.18万円×延床面積(平方メートル)×3分の1」のいずれか低い方の額
補助額(新耐震建築物)一般世帯20万円、非課税世帯40万円
2026年度申請受付期間2026年4月1日から2026年12月28日まで
市耐震診断の申込期限2026年10月末(10月31日)まで
工事完了・完了報告提出期限2027年2月末(2027年2月28日)まで
事前申請必須。交付決定前の契約・着工は補助対象外

対象者と耐震性チェックの方法

佐藤
対象者の条件も教えてください。誰でも申請できるんですか。
田中
「解体する建築物の所有者(法人を除く)」が対象です。個人所有の住宅が前提で、法人が所有する建築物は対象外になります。相続で個人名義になっている空き家であれば、この要件は満たしやすいはずです。
佐藤
「耐震性が低い」というのは、どうやって確認するんですか。自分で判断していいわけではないですよね。
田中
公式ページでは3つの方法が案内されています。1つ目は耐震診断を受ける方法、2つ目は市が用意している調査票を使って自分で調査する方法、3つ目はすでに「特定空家」に該当する場合に建築指導課へ事前相談票を提出する方法です。耐震診断を受ける場合は、横浜市木造住宅耐震診断士派遣制度など別の制度と組み合わせて進めるケースもあります。まずどの方法を使うかを、建築防災課耐震事業担当に相談するのが確実です。

補助額はいくらか

佐藤
一番気になる金額の話をお願いします。
田中
補助額は、着工時期の区分によって計算方法が違います。旧耐震建築物(昭和56年5月末以前着工)の場合は、①上限額50万円と、②「2.18万円×延床面積(平方メートル)×3分の1」で計算した額の、いずれか低い方の金額になります。延床面積が小さい家だと②の計算額の方が低くなることもあるので、実際の補助額は延床面積によって変わると考えてください。
佐藤
新耐震建築物のほうはどうですか。
田中
新耐震建築物(昭和56年6月から平成12年5月末以前着工)の場合は、延床面積での計算はなく、世帯の区分による定額です。一般世帯は20万円、非課税世帯は40万円になります。非課税世帯というのは、所有者本人とその世帯員全員の住民税が過去2年間非課税である世帯を指します。世帯の状況によって補助額が2倍違ってくるので、自分の世帯が非課税世帯に当たるかどうかは事前に確認しておいたほうがいいです。

申請前に確認すべきこと

申請受付は2026年12月28日まで、工事完了は2027年2月末までです

2026年度の申請受付期間は2026年4月1日から2026年12月28日までです。また交付決定を受けたあとも、2027年2月末(2027年2月28日)までに工事を完了し、市へ完了報告書を提出する必要があります。解体業者の手配や耐震性チェックには時間がかかるため、年末近くになってから動き出すと間に合わなくなるおそれがあります。

佐藤
市の耐震診断を利用したい場合、申込のタイミングにも注意が必要そうですね。
田中
そのとおりです。市が実施する耐震診断を利用する場合の申込期限は2026年10月末(10月31日)までとされています。除却補助の申請受付自体は12月28日まででも、診断のスケジュールを考えると、耐震性チェックはできるだけ早い時期に着手したほうが安全です。
佐藤
申請にはどんな書類が必要になりますか。
田中
公式ページで配布されている「申請時必要書類リスト」に一覧がまとまっています。ページ上に具体的な書類名までは列挙されていないので、リストをダウンロードして、自分のケースで何が必要かを一つずつ確認してください。書類に不備があると交付決定が遅れ、工事着手のタイミングにも影響するので、早めの準備が安心です。
佐藤
解体を頼む業者は、知り合いのつてやインターネットで見つけた業者ならどこでも頼めますか。
田中
いいえ、この補助制度には解体業者側にも要件があります。まず、除却工事を行える事業者は「市内事業者(市内に本社がある事業者)」に限られます。市外にしか拠点がない業者には依頼できません。さらに、建設業法上の土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの許可を保有している事業者である必要があります。見積もりを取る段階では、見積金額が100万円以上になる場合は2者以上の見積書を提出しなければなりません。そして交付決定通知書を受け取ったあとは、見積金額が低い方の事業者としか契約できず、高い方の事業者を選ぶことはできません。業者選びの前にこの4点を確認しておくと、あとで契約し直すような手戻りを防げます。
申請から補助金受け取りまでの流れ
  1. 自宅が「平成12年5月末以前着工」の対象要件に当てはまるか確認する
  2. 耐震診断・自己調査・特定空家のいずれかの方法で耐震性チェックを行う(市の耐震診断利用なら2026年10月末までに申込)
  3. 「申請時必要書類リスト」を確認し、必要書類をそろえて申請する(受付は2026年12月28日まで)
  4. 補助金交付決定通知書を受け取ってから、解体業者と契約・工事に着手する
  5. 工事完了後、2027年2月末までに完了報告書を市へ提出し、補助金を受け取る

他の制度との関係・使いどころ

佐藤
空き家を解体すると、税金の特例が使えなくなると聞いたことがあるんですが、この補助と両立できますか。
田中
公式ページには「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用する場合でも、本除却補助制度を申請することが出来ます」と明記されています。ですので、解体後に空き家を売却して譲渡所得の特別控除を使う予定がある場合でも、この除却補助と併用して問題ありません。
佐藤
逆に、使えないケースもあるんですか。
田中
あります。建築物不燃化推進事業の対象地区にある建築物については、この住宅除却補助制度ではなく、別の建築物不燃化推進事業補助が案内されています。自宅がどちらの制度の対象地区に当たるかで窓口が変わるので、まずは自宅の場所を伝えて建築防災課耐震事業担当に確認するのが確実です。また、横浜市には木造住宅耐震診断士派遣制度や木造住宅耐震改修促進事業など、解体ではなく耐震改修を選ぶ場合の補助メニューも別に用意されています。解体するか改修するか迷っている段階でも、同じ窓口に相談すれば選択肢を整理してもらえます。
佐藤
最後に、まず何から始めればいいですか。
田中
自宅の着工時期(平成12年5月末以前かどうか)と、旧耐震・新耐震のどちらの区分に当たるかを確認してください。そのうえで、耐震診断・自己調査・特定空家のどの方法で耐震性チェックを行うかを、横浜市建築局建築防災課耐震事業担当(電話045-671-2943)に相談するところから始めるのが確実です。

公式情報

お問い合わせ: 横浜市建築局建築防災課耐震事業担当、〒231-0005横浜市中区本町6-50-10市庁舎25階、電話045-671-2943、ファックス045-663-3255、メールkc-mokutai@city.yokohama.lg.jp

住宅除却補助制度(横浜市) | 住まい制度データベース