愛知県 名古屋市
名古屋市 がけ地近接等危険住宅移転事業費補助金を解説
土砂災害対策・移転支援確認済み
佐藤
うちの実家が名古屋市内の山際にあって、最近になってその一帯が土砂災害特別警戒区域に指定されたと聞きました。指定される前から住んでいる家なんですが、こういう場合に使える補助制度ってあるんでしょうか。
田中
あります。名古屋市の「がけ地近接等危険住宅移転事業費補助金」です。土砂災害特別警戒区域に指定される前に建てられた危険住宅から、名古屋市内の安全な場所にある住宅へ移転する場合に、既存住宅の除却費や、移転先の住宅を建設・購入するための費用の一部を補助する制度です。がけ地の崩壊などで生命に危険が及ぶおそれのある区域の住宅が対象になっています。
契約前に交付決定を受ける必要があります
移転事業にかかる契約(住宅の除却、建設、購入など)を締結する前に、補助金の交付決定を受ける必要があります。見積もりを取ったあとに先へ契約を進めてしまうと補助の対象外になるため、必ず事前に名古屋市へ相談してください。

どんな制度か
佐藤
そもそも、なぜ「移転」を補助する制度があるんでしょうか。改修して住み続ける選択肢はないんですか。
田中
がけ地に近接した場所は、豪雨などで土砂災害が発生すると住宅そのものが被害を受けるリスクがあります。そのため名古屋市では、危険な場所から安全な場所へ住み替えてもらうことを目的に、既存住宅の除却費や移転先住宅の建設・購入にかかる費用の一部を補助しています。なお、同じ案内ページには移転ではなく建物を補強する「土砂災害対策改修費補助金」という別の制度も案内されているので、住み続けたい場合はそちらも確認するとよいと思います。
佐藤
対象になる住宅の条件を詳しく教えてください。
田中
「土砂災害特別警戒区域に指定される前に建てられた住宅から、名古屋市内の安全な場所の住宅へ移転すること」が要件です。つまり、区域指定後に新築・購入した住宅は対象になりません。また、移転先も名古屋市内の安全な場所である必要があります。自分の家がある場所が土砂災害特別警戒区域かどうかは、愛知県の「マップあいち」内の「土砂災害情報マップ」、または愛知県砂防課が公表している区域指定の状況で確認できます。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自治体 | 愛知県 名古屋市 |
| 制度名 | がけ地近接等危険住宅移転事業費補助金 |
| 主な対象 | 土砂災害特別警戒区域指定前に建てられた危険住宅から、市内の安全な場所への移転 |
| 除却費の補助 | 住宅局標準建設費等通知の額に危険住宅の延べ面積を乗じた額 |
| 引越費用等の補助 | 97万5千円 |
| 建物助成費の補助 | 731万8千円(建物465万円、土地206万円、敷地造成60万8千円) |
| 事前相談書の提出期限 | 移転事業を行う年度の前年度8月末日まで |
| 交付申請の期限 | 移転事業を行う年度の6月第3金曜日まで |
| 問い合わせ | 名古屋市住宅都市局建築指導部建築安全推進課建築防災担当 |
対象者・対象住宅・対象工事
佐藤
「危険住宅」という言葉が出てきましたが、具体的にはどう判断されるんですか。
田中
公式ページでは「がけ地の崩壊等により市民の生命に危険を及ぼすおそれのある区域の危険住宅」と説明されています。実務上は、土砂災害特別警戒区域の指定前から建っている住宅で、その区域内にあることが前提になります。区域指定の有無や範囲は先ほどの「マップあいち」で確認できますが、自分の家が対象になるかどうかの最終的な判断は、住宅都市局建築指導部建築安全推進課建築防災担当への相談が必要です。
佐藤
補助の対象になる費用の種類を整理してもらえますか。
田中
大きく3つに分かれます。ひとつ目は「除却費」で、危険住宅を取り壊すのにかかる費用です。補助限度額は住宅局標準建設費等通知の額に、危険住宅の延べ面積を乗じた額とされていて、申請年度や建物の構造によって金額が変わります。二つ目は「引越費用等」で、動産の移転費や仮住居費などが対象になり、補助限度額は97万5千円です。三つ目は「建物助成費」で、これは移転先の住宅を建てる、または購入するために金融機関から借りたお金の借入金利子(年利率8.5パーセントを限度)に相当する額が対象になります。補助限度額は731万8千円で、建物465万円、土地206万円、敷地造成60万8千円という内訳が示されています。
補助額・補助率
佐藤
除却費の「住宅局標準建設費等通知の額×延べ面積」というのがちょっとイメージしづらいです。
田中
これは国や市が定める標準的な建設費の単価に、対象になる危険住宅の延べ面積を掛けて上限額を算出する仕組みです。単価は申請する年度や建物の構造(木造か非木造かなど)によって変わるため、公式ページにも「申請年度や建物の構造により額が異なります」と明記されています。実際の金額は、事前相談の段階で市の担当窓口に確認するのが確実です。
佐藤
引越費用等の97万5千円と、建物助成費の731万8千円は、それぞれ上限だと考えていいですか。
田中
はい、いずれも補助限度額です。引越費用等は動産移転費や仮住居費などの実費に対して上限97万5千円まで補助されます。建物助成費は、移転先住宅の建設・購入資金の借入金利子に相当する額に対して、建物465万円、土地206万円、敷地造成60万8千円、合計731万8千円を上限として補助されます。実際に借入をしていない、あるいは利子が上限より少ない場合は、その実額が補助されることになります。
申請前に必要な手続き
佐藤
申請のスケジュールが少し複雑そうです。順番を教えてください。
田中
二段階になっています。まず、移転事業(土地の取得、住宅の建設や購入)を行おうとする年度の前年度の8月末日までに、事前相談書を提出します。そのうえで、事業を行う年度の6月第3金曜日までに交付申請を行う流れです。どちらの期限も、末日が土曜・日曜・祝日にあたる場合は直前の開庁日までとなります。また、予算件数に達した時点で受付が終了するとされているので、早めの相談が安心です。
佐藤
交付申請の前に、業者との契約を先に進めてしまうのはまずいですか。
田中
それは避けてください。公式ページに「移転事業にかかる契約を締結する前に補助金交付決定を受ける必要があります」と明記されています。<span class="textMarker">交付決定を受ける前に除却や建設・購入の契約を結んでしまうと、補助の対象外になる可能性が高い</span>ので、見積もりの段階から市に相談しながら進めることが大切です。
事前相談から補助金受け取りまでの流れ
- 自宅が土砂災害特別警戒区域かどうかを「マップあいち」等で確認する
- 移転事業を行う年度の前年度8月末日までに事前相談書を提出する
- 移転事業を行う年度の6月第3金曜日までに交付申請を行う
- 交付決定を受けたあとに除却・建設・購入の契約を結ぶ
- 移転完了後に実績報告を行い、補助金を受け取る
他制度との併用・使いどころ
佐藤
移転ではなく、耐震補強や別の補助制度と迷った場合はどうすればいいですか。
田中
先ほど触れた「土砂災害対策改修費補助金」は、移転ではなく住宅を残したまま対策工事を行う場合の制度です。同じ「土砂災害特別警戒区域内の住宅等に対する補助制度のご案内」のページにまとめて案内されているので、移転するか住み続けるかで迷っている場合は、両方の制度の説明を読み比べてから窓口に相談するのがおすすめです。名古屋市のほかの住宅関連の補助・助成制度は、名古屋市の住まいの支援制度一覧でまとめて確認できます。
佐藤
最後に、相談する窓口を教えてください。
田中
名古屋市住宅都市局建築指導部建築安全推進課建築防災担当です。電話番号は052-972-2935、ファクス番号は052-972-4159です。制度の詳しい要件や交付要綱、事前相談書のひな形はがけ地近接等危険住宅移転事業費補助金のページに掲載されているので、事前相談書を提出する前に必ず目を通しておいてください。区域指定の状況が変わっていることもあるので、最新の情報は申請の直前にもう一度確認すると安心です。